JRの架線切断が再発するかもしれない理由 京浜東北線と同じトラブルが山手線でも!?

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JR東日本は2007年6月にも同様のトラブルを起こしている。宇都宮線(東北線)の大宮―さいたま新都心間でエアセクション内に停止し、乗客が最大4時間にわたって電車内に閉じ込められ、18万人に影響が出た。

このときには、再発防止策として(1)エアセクションがあることを運転士に注意喚起する表示板を連続して設置し、エリア内で停止してはいけないことを徹底させる、(2)低速でエアセクションに接近した列車に「セクションです。注意してください」と音声で警告し、エアセクション内での停止を防止する音声アラームを導入する、(3)電流アークが発生しても切れない剛体架線の早期導入を目指す、などの対策を講じると発表している。

京浜東北線の今回のトラブルはほかの路線でも起こる可能性がある(撮影:尾形文繁)

特に(2)については、首都圏を走るすべての車両約1100編成に導入するとしていた。だが、それから8年経っても、京浜東北線には導入されていなかった。ATC区間だから導入不要、という判断が働いたようだ。

今後の再発防止策として、乗務員教育の再徹底に加え、JR東日本は(2)の音声アラームによる乗務員支援システムを京浜東北線に導入するとしている。だが、首都圏の路線網では山手線や常磐緩行線もATC区間である。これらの路線への導入については「検討している」という回答にとどめ、態度を明確にしていない。

新型車両への置き換え待ち?

山手線では今秋に新型車両E235系量産先行車の営業運転が始まる。今後、導入可能かどうかを見極めたうえで、順調にいけば現行のE231系は2020年の東京オリンピック開催までに大半が新型車両へ置き換えられている見通しだ。

山手線に音声アラームが導入されない理由は、ひょっとしたら新型車への置き換えのタイミングを待っているためかもしれない。今、E231系に導入しても、すぐに無駄になりかねないからだ。だが、それまでに同様のトラブルが三たび起こる可能性は否定できない。

JR東日本の2015年度第1四半期(4~6月期)決算は、本業の儲けを示す営業利益が前年同期比12.7%増だった。業績好調の理由は、同社に対する利用者の信頼の証しでもある。だとしたら、収益の一部を利用者の安全対策に投じたとしても、株主は文句を言わないはずだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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