米国で中毒者続出「ソウルサイクル」って何? ファンを熱狂させるレッスンの「中身」
2つ目は好循環が起きていることだ。業界トップという地位がさらなる成長をもたらす場合がこれに該当する。たとえばウォルマートは、市場占有率の大きさゆえに仕入れ業者に値下げを求めることができ、それがさらに店の魅力を高めている。フェイスブックを皆が使うのは、ほかの誰もが使っているからだ。
3つ目は、丸ごと模倣しなければ意味がないような複雑なビジネスモデルがあることだ。リブキン教授が例として挙げたのは格安航空会社のサウスウエスト航空だ。余計なサービスをそぎ落とした同社のビジネスモデルを真似した会社はいくつもあったが、同じような着実かつ高い利益を手にするには至らなかった。座席指定ができないことによる「面白さ」を利用者に理解してもらうのはなかなか難しいものだ。
心理的な効果にファンはぞっこん
リブキンはソウルサイクルの事業についてはあまり詳しくなく、同社がこの3つの分類のいずれかにあてはまるかどうかはわからないと述べる一方で、フィットネスクラブの経営は難しく競争は非常に激しいと指摘した。
リブキンは大学院の授業で、見た目が華やかでも儲かる商売とは限らない例としてバリー・トータル・フィットネス社(2度も倒産を経験)を取り上げているという。ソウルサイクルについては「独自性が高く持続可能な何かがあったほうがいい」と彼は言う。
ソウルサイクルはリブキンの言う「独自性の高い何か」、つまりエクササイズ以上の何かが得られるという感覚を客に提供できているようだ。ファンに言わせれば、ソウルサイクルにせっせと通うことで得られるのは肉体的なエクササイズ効果に留まらないという。
「(ソウルサイクルは)エクササイズによる人間的な成長とセラピー効果を抗しがたく中毒性のある形で客に売りつけている」と語るのは、マザー・ジョーンズ誌のエンゲージメント・エディター、ベン・ドレイファスだ。ドレイファスはマンハッタン在住で、この1カ月半ほど、平均して1日1回程度ソウルサイクルのエクササイズに参加している。
「(ソウルサイクルのレッスンには)ヨガの鎮静効果にチームスポーツの集団心理、それに隊長に従って戦闘に参加するような奇妙な心理的な何かが混ざったものがある」と彼は言う。