葉っぱアート「88万円」"目利き"が語る価格の根拠 販売を渋っていた作家、「これが最後」と承諾
展覧会でリトさんの作品を見ると、心が温まって、幸せな気持ちになる。その感情を持ち帰りたい、温かい世界観を手元に置いておきたい、って、人は思うはずなのです。
そして、作品を所有した人が、家族や友人にその温かさや幸せを共有する。アートって、そういう広がり方、伝わり方もあると思うのです。
「88万円」は表現に対する価格
そこで今回、博多阪急で4回目の展覧会を企画するにあたって、僕はリトさんに「ぜひ作品を販売させてほしい」とお願いしました。
最初はリトさんも「絶対に売りたくない」と渋っていたのですが、最終的には「これが最後です」と、販売する5点の制作を約束してくれました。
初めて個展を開いた恩を感じてくれていたのかもしれません。「加藤さんだから、OKしたんです」と言ってもらいました。
リトさんが今回制作した5点の販売作品に僕が付けた価格は、1点88万円でした。
88は、“ハッパ”をかけていたり、末広がりだったり、8を横にしたら無限大だったり。いろいろな意味がありますが、基本的には純粋に、この価格がいまのリトさんの作品の価値だと思って付けました。
リトさんの作品は、単に精巧だからいい、というわけではないのです。88万円は、技(わざ)の価値ではなく、表現の価値。見る人に寄り添って勇気づけてくれて、温かい気持ち、優しい気持ち、幸せな気持ちにしてくれる。その表現に対する価格です。
もしかしたらリトさんは、もう二度と作品を販売することはないかもしれません。この希少な機会に手に入れられた人は、お金に替えられない価値を手にしたことでしょう。
(構成/下井香織)
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