絶好調「はま寿司」が出店を加速できる秘密 店舗数は業界首位のスシローを超える勢い

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結果的には自らのブランド「はま寿司」を立ち上げ、回転ずし業界に挑んだゼンショーHD。とはいえ、最後発でありながらどのように事業を拡大してきたのか。キーとなったのは、競合の少ない北海道や沖縄県など空白地への出店だ。

一般的に、外食チェーンが本社(本部)から離れた遠隔地に出店することは容易ではない。特に沖縄のような場所は、離島であるがゆえに食材調達が難しかったり、物流コストが高くついたりする。回転ずしともなれば新鮮な魚を扱うだけに、ハードルは一段と高い。にもかかわらず、はま寿司は沖縄県ですでに5店舗を構えており、9月にはさらに1店増える予定だ。

ゼンショーの力は大きい

遠方への進出が可能なのは、はま寿司がゼンショーHDという業界最大企業のグループ傘下にいるから。ゼンショー傘下のすき家は2007年に沖縄に進出しており、現在24店舗を運営している。同年には現地で食材加工工場も設けた。はま寿司とはコメなどを共通で使用できるほか、食材配送などの物流も一括することで、コストの抑制につながっている。

現地の物件情報もこれまでのすき家の経験を通じて入ってくる。こうしたゼンショーグループの強みを武器に、他社に先駆けて空白地に進出することができた。ライバルが少ないことから客数は増え続け、店舗売り上げもはま寿司全店の平均より断然高いという。

6月からは全国の店舗でウェブ予約システム「はまナビ」を導入した。パソコンや携帯電話から予約ができるほか、混雑時には来店前に整理券を発行し、待ち時間を短縮できる。同業他社でも同じような仕組みはあるものの、アプリ形式のためスマホ保有者しか利用できないことが多い。はまナビはインターネットを通じて幅広い層が利用できる仕組みにし、差別化を図っている。

ライバルも、うかうかしてはいられない

右肩上がりの成長を続けるはま寿司だが懸念もある。沖縄では、今年4月に「くら寿司」が初出店を果たしたほか、9月上旬にはスシローも沖縄初上陸を予定。ライバルが少なく優位と思われた地域に他社も続々と進出しており、地方での競争環境は変わりつつある。

もう一つは人材の確保だ。店舗網は拡大しているが、業界全体を見渡せば人手不足は依然大きな問題となっている。はま寿司の場合、1店当たりで働くアルバイトの人数はすき家の3~4倍にのぼる。加えて店舗をスムーズに運営するため、教育にあたる人材も育成しなくてはならず、今後の拡大へのハードルとなっている。

他社動向を見極めた出店と人材の確保。二つのバランスを取りながらどのように舵取りをしていくか。この成否こそ、はま寿司が親孝行企業で居続けられるかどうかを左右する、最大のポイントになりそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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