くら寿司、「シャリカレー」に託す2つの戦略 酢飯+カレーが生み出す化学反応とは?
「カレー専門店にも負けない味に仕上がった。このようなクオリティの高い商品をどんどん出していかなければならない」。回転すし大手「くら寿司」を展開する、くらコーポレーションの田中邦彦社長は、7月29日に開いた新商品説明会でこう強調した。
くら寿司は、すしのシャリ(酢飯)とカレーライスを組み合わせた「シャリカレー」の販売を開始した。全国約360店の店舗で、7月31日からサイドメニューとして提供している。カレールーには、26種のスパイスと玉ねぎ、りんごなど13種の野菜・果物を使用。価格は350円(税抜き)。3カ月で100万杯の販売目標を掲げる。
「なんだこれは?」「くら寿司はどこに向かって進んでいるのか」――。回転すしチェーン初のカレーライス、しかも「シャリとカレー」という意外な組み合わせの商品だけに、発売と同時にネット上では驚きの声が続出した。
話題性を狙った“変化球”にも見える新商品だが、くら寿司は看板商品としての育成を本気で見据える。シャリカレーは経営戦略上の課題を克服する「戦略商品」と、同社は位置付けているのだ。
業界4強の優勝劣敗
外食産業全体が伸び悩む中にあって、回転すしは市場規模が順調に拡大を続けている。だが、消費者の財布のヒモは固く、「4強」といわれる業界大手の競争はいっそう厳しさを増している。
最大手のあきんどスシローは、タマゴで甘エビなどの具材を包んだ「クレープすし」や「オムライすし」など、子供向けの商品を拡充し、首位固めを狙う。ゼンショーホールディングス傘下のはま寿司は、年間50店超もの出店を続け、店舗総数では業界2位のくらコーポを抜いた。一方で、カッパ・クリエイトホールディングスは来店客数が減り、2014年2月期に大量の不採算店閉鎖を強いられ、繰越赤字が現在も残る状態だ。
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