脳の権威が断言「AIを使ってもバカにならない」 米国脳トレーナーが教えるAIとのつきあい方
電卓のアナロジーで考える
AIのせいで人間が「ばかになる」ということはありえるのだろうか。たぶんないだろう。自分からなろうとしないかぎりは。
電卓のアナロジーを思い出そう。スマホの電卓アプリがこれだけ普及したいま、レストランでチップをいくら払うか、庭にまく芝の種は何袋必要かといった計算を、もはやそらでやる必要はない。僕らの前の世代はそうした暗算ができたし、ここ数十年内に生まれた人もたいがいできるだろうが、かといって鼻歌交じりにできるようなことでもない。
とはいえ、実際の計算ができることは、あらゆる数学の問題の最も基礎的な部分にすぎない。一番大事なのは、その問題をそもそもどう解けばいいのか知っていることであり、それは電卓にやらせることはできない。電卓にできるのは、あなたが打ち込んだ数字の演算だけだ。
ここからわかるのは、知識と推論は違うということである。知識とはいわば、大量のデータの集積だ。一方、推論はそうしたデータを、創造したり、問題解決したり、大局的な視点から思考したり、あるいは(人間社会の欠かせない構成要素だと僕らが考える)より高いレベルの機能性を発揮したりするのに応用することである。
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