(第20回)垂直統合の巨大企業を生んだ20世紀型技術

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現在でも、アメリカには大富豪が生まれている。『フォーブス』誌による最新の富豪世界ランキングを見ると、ビル・ゲイツ(560億ドル)、ウォーレン・バフェット(500億ドル)などとなっている。ところが、日本のトップは孫正義ソフトバンク社長で、81億ドルだ。これは、ゲイツの7分の1でしかない。全世界での順位は113位になる。

日本の経済的な規模が世界の約9%であること、日本の対外純資産が世界一であることを考慮すれば、個人の資産はいかにも少ない。

つまり日本では、大金持ち・大富豪が現れにくい国なのだ。資産は個人に集まるのではなく、企業グループに集まる。戦前の財閥の資産は巨額だったが、資産を保有していたのは、特定の個人というよりは、企業グループであった。

フォーブスのリストは生存中の人に関するものだから、相続税制の影響は受けていない。これは、企業なり経済なりの仕組みがもたらす現象である。


野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授■1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省(現財務省)入省。72年米イェール大学経済学博士号取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より現職。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書は『金融危機の本質は何か』、『「超」整理法』、『1940体制』など多数。(写真:尾形文繁)


(週刊東洋経済2011年10月29日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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