長引く不況で、今年の就職も厳しかった。大学通信調べの過去5年の大学の就職率平均を見ると、2007年79・5%→08年81・8%→09年80・7%→10年74・4%→11年74・4%。今年のデータは500大学、約53万5000人の卒業生からの集計だ。08年のリーマンショック後、就職率は下がっている。だが、そのような中でも高い就職実績を残している大学がある。
理系1位は神戸大海事科、文系1位は桜花学園大保育
理系ベスト100を見てみよう。トップは神戸大学・海事科学部で就職率は100%。聞き慣れない学部名だが、03年に神戸大学と神戸商船大学が統合して、神戸大学に新設された学部。海事技術マネジメント、海洋ロジスティクス科、マリンエンジニアリングの3学科から成る。
商船大は日本に2校あったが、もう一方の東京商船大学は03年に東京水産大学と統合して東京海洋大学になり、海洋工学部に変わった。その海洋工学部も42位に入っており、旧商船大は就職に強い。
多くの大学は1年生からキャリア教育を行い、インターンシップにも積極的だ。それだけ力を入れるのは、近年、出口の就職実績が、入口の生徒募集と連動するようになってきているからだ。
大学通信は今年7月に全国の進学校の進路指導教諭を対象にアンケート調査を実施した。625高校から回答を得たが、その中で「以前に比べて就職を意識して大学、学部を選ぶ傾向は強まっているか」を聞いたところ、「かなり強くなった」と「少し強くなった」を合わせると88%にも達した。就職を意識しての志望大学選びは当たり前のことになってきている。それだけに、各大学とも就職支援に力を入れている。