気になるのは法学部がベスト100で1校しかないことだ。就職に強くないといわれる文学部でも5大学がランクインしている。法学部は文系最難関の学部といわれるが、就職率はあまり高くない。法科大学院あるいは公務員を目指すなど、卒業後の選択肢が多い分、就活に全力投球とはいかないのかもしれない。
就職率高い中部地方 国際医療福祉大が健闘
次に就職率を地域別に見ていこう。最も就職率が高かった地域は中部で81・2%。大企業の多い関東は71・7%、近畿も73・9%にとどまった。文理別では、文系は中国・四国の79・6%、理系では中部の87・6%がトップだった。トヨタ自動車をはじめ、モノづくりに強みを発揮する企業が多い中部の強さが際立つ結果となった。
また、どの地域でも国公立大が強かったのも今年の特徴だ。設置数の差もあるが、私立大のほうが強かったのは関東だけ。地方の国立大には就職率の高い教員養成系と工学系の学部が設置されていることが多いためとみられる。
さらに、今年の特徴として、複数の学部がランキングに登場する大学も多い。4学部以上出てくるのは、北海道・東北では弘前大学と山形大学、関東では一橋大学と国際医療福祉大学、中部では名古屋大学と岐阜大学、近畿では三重大学と神戸大学、中国・四国では岡山大学と広島大学、九州・沖縄では九州大学と佐賀大学。国立大が圧倒的に強い中、国際医療福祉大が唯一の私立大だ。
各大学の就職支援力の差が就職率の高低に表れ、さらには生徒募集に影響する。大学全入時代を迎え、偏差値が以前ほど頼りにならなくなってきている今、「就職率」が大学選びの最重要基準となる日は、そう遠くないのかもしれない。
(大学通信・常務取締役 情報調査・編集部ゼネラルマネージャー 安田賢治)