大工激減の一方で、「大工講座」が大人気の事情 副業・兼業大工が増えることの意味とは

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入り口はできるだけシンプルにしてやりがいや楽しさを味わってもらい、仲間と協業することで継続できるようにするというやり方である。廃屋に手を入れて使えるようにすることは自ら資産を生み出すことであり、大工仕事を自分事化することにつながる。

一般的な大工が工務店やハウスメーカーからの仕事を受動的にやっていることを考えると、自分で能動的に仕事を生み出しているともいえる。それが他人に言われてやる仕事とは違うものになるであろうことは言うまでもない。

副業・兼業の大工が増えることの意義

西村さんは手応えがあったことから、育成講座を今後も続ける計画だ。いずれはオンラインでコミュニティを作り、相談したり、助け合えるようにしていきたいとも。大工を含め、これまでの職人たちが孤立しがちな存在であったことを考えると面白い取り組みだろう。

ここで育成されるのは半人前の兼業、副業大工で、職業人としての大工ではないが、地域に大工仕事ができる人が増える意味は大きい。個人宅の改修、空き家の再生、災害時のとりあえずの復旧など、ちょっとした大工の腕が必要にされる場面は多いからだ。

働く側としても本業を持ちながら、フリーランス的に「手に職を持つ」働き方ができるのは人生や暮らしの選択肢を増やしてくれる。空き家を改修・使えるようにできれば、自宅として使って住居費を抑えられるだけでなく、修理した家を貸せば文字通り、自分の手で資産を増やしてもいける。

半人前でスタートした人がその後、本気になって修行を重ねて本職の大工となれば多少なりとも大工不足解消に寄与することもありうる。そう考えると、まずはハードルを下げて大工作業に親しむこれまでとは異なる取り組みには大きな可能性があるように思える。

中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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