大工激減の一方で、「大工講座」が大人気の事情 副業・兼業大工が増えることの意味とは

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一方、大工やモノを作る仕事自体については関心のある子どもたちは少なくない。クラレの小学6年生の「将来就きたい職業」では2020年の男の子3位が大工、第一生命の「大人になったらなりたいもの」も同年の小学生男子の10位は大工だ。コロナ禍で室内での仕事に人気が集まっているものの、ものづくりという仕事自体に魅力を感じている子どもたちがいるのだ。

子どもたちが感じている魅力をどうやって現実につなげ、実現可能な建設業を実現していくか。注目したい動きがある。2023~2024年に神戸市で開催し、多くの参加者が集まった、建築集団「西村組/合同会社廃屋」による半人前大工育成講座である。

副業や兼業で家を直せる「半人前の大工」を育成

日本では一人前に価値があるとされ、特に職人はつらい修行に耐えてなんぼといった意識が根強くあるが、この講座が目指すのは作ることを楽しみながら、副業や兼業で家を直せる「半人前の大工」だ。

主催した西村組/合同会社廃屋は、地域の空き家を次々にDIYで改修し、神戸市に複数の廃墟を改装した「バイソン」という村まで作ってしまった集団で、空き家を自分の手で再生したいという人たちには知られた存在。特に関西ではメディアにも頻出し、中心になっている西村周治さんには空き家をもらってほしいと所有者からの相談が相次ぐ。

バイソンではかつて廃墟だった茶室(写真左)を改修し、庭も整備して現在はイベントなどでも使える場になっている(写真:西村組提供)

講座は初回のテーマが「使える空き家の見分け方」だったこともあって広く関心を集め、募集開始半日ほどで15人の定員をはるかにオーバーする申込があった。以降10回の講座があり、回によっては40人を超す人が集まった。

参加者は、大工作業は初めてという人たちで男女はほぼ半々。回によっては女性が多かったこともある。年齢的には学生から高齢者まで幅広い人が集まったが、中心は30代だったそうだ。

日系アメリカ人で2016~2019年に語学教師として京都に滞在していたスダ・ジャロッド・ゼンジローさんは京都から消えつつある町家の保存に関心を持った。再来日した2021年に神戸市の主催する「神戸農村スタートアッププログラム」に参加。市職員から西村さんを紹介され、講座を受け、現在は西村さんから譲り受けた明治時代の古民家を改修している。

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