スポーツバイクのセミオートマ化が進む真意 ヤマハ「MT-09」へ新機構「Y-AMT」搭載を発表

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つまり、Y-AMTは、MTモードでよりスポーティかつスムーズな走りを体感できるだけでなく、ATモードで快適な走りも味わえる機構だといえる。ユーザーは、デイリーユースやツーリング、スポーツライディングまで、幅広いシーンにマッチする多様な走りを、1台のバイクで楽しめるということだ。なお、運転するのに必要な免許は、ベース車のMT-09が大型二輪免許なのに対し、MT-09 Y-AMTでは、AT限定の大型二輪免許でも可能だ。

ホンダのE-クラッチ、DCTとの違い

E-クラッチを採用したホンダのCB650R
E-クラッチを採用したホンダのCBR650R(本田技研工業)

以上がY-AMTや搭載モデルの概要だ。前述のとおり、同様の機構では、ホンダが2024年6月に発売した650cc・4気筒の新型「CBR650R」と「CB650R」に搭載するホンダE-クラッチがある。

ただし、こちらは、従来のMT車と同様に、シフトペダルとクラッチレバーを備えており、シフトチェンジ時はペダルを動かす必要がある。あくまで、クラッチ操作を自動化した機構であることがY-AMTと異なる点だ。なお、通常のMT車と同じく、クラッチレバーを握ったり、離したりする手動操作も可能だ。

2024モデルのCRF1100アフリカツイン
2024モデルのCRF1100Lアフリカツイン(写真:本田技研工業)

一方、同じホンダのDCTは、Y-AMTに近い装備だといえる。クラッチレバーやシフトペダルがなく、AT機構に加え、左ハンドルのシフトレバーで手動変速も可能なセミオートマ機構だからだ。なお、DCTは、これも先に述べたとおり、2016年にCRF1100Lアフリカツインへ世界初採用。その後、「NT1100」や「レブル1100」「NC750X」といった大型ツアラーなどに採用し、搭載車種を拡大している。

Y-AMTとの違いは、DCTでは、1速-3速-5速-発進用クラッチと、2速-4速-6速用クラッチという2つのクラッチを備えていること。Y-AMTは、ホンダE-クラッチのように、通常のMT機構に追加する機構である点が異なる。実際にヤマハも、「ホンダのDCTは、(Y-AMTと比べ)変速のスムーズさでは上。だが、より軽量で、従来のMT機構を使える点がY-AMTの優位点」だという。つまり、Y-AMTは、今回採用したMT-09のY-AMT仕様車のように、大がかりな仕様変更が不要なため、本来のスタイルをさほど変えずに搭載が可能なのだ。その点も、ホンダE-クラッチに似ている。

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