しかし、「③厄介な問題」では論理はひとつとは限らない。多様な理屈が複雑に絡み合っているから、「正解」が導き出せない。
また、どの立場に立つかによって、仮説そのものの設定は異なる。仮説を立てることすら難しいから、厄介なのである。
「論理思考」や「仮説思考」だけに頼るだけでは、「厄介な問題」に対処するのは難しい。
それでは、「厄介な問題」には、どのような思考法で対処すればいいのだろうか?
「厄介な問題」に有効な「2つの思考」とは?
その具体的方法論として生み出されたのが、「デザイン思考」や「アジャイル思考」である。
「デザイン思考」は、デザイナーがデザインする過程で用いている思考プロセスをビジネスに応用したものである。アメリカではアップルやグーグルなどでも広く採用されている。
デザイナーは自らの手を動かし、微妙に修正を加えながら、成果物に仕上げていく。最終形に直線的に向かうのではなく、柔軟に軌道修正しながら、ゴールを目指すのが彼らの仕事のやり方である。
この発想は、先行きが不透明で、変化のスピードが速く、しかも問題の難易度が格段に上がっているビジネスの世界においても、有効なアプローチである。
「デザイン思考」は、けっして最先端の思考法ではない。アメリカでは1980年代にその概念が紹介され、導入する企業が増えていった。
シリコンバレーの企業では「Fail fast, fail cheap and fail smart」(早く失敗し、安く失敗し、賢く失敗する)という言葉がさかんに使われる。
これはまさに「デザイン思考」の発想である。
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