インド人社員対策、まずは紛争予防とバランスが必要--山本匡弁護士インタビュー
USBメモリへのコピーを禁止したり、メール送信時は日本人社員をCCに入れないと送信できないといった対策をしている企業もあるようです。今後、インドで製造やR&D活動が増加すると、より大きな問題となるかもしれません。
--罪の意識は低いということですね。故意にやる場合は、損得勘定というよりは、腹いせにやってしまうことが起きやすい気がします。何でも交渉のネタです(笑)
そういうこともあるかもしれないですね。その他、横領やセクハラも時々耳にしますね。
--両方とも聞きます。横領は退職後に発覚することが多いらいしいですし、セクハラについては女性社員の腹いせによる冤罪もあるようで、難しい問題ですね。話は変わりますが、インドでは労働者の権利意識が高まってきて、労働組合や労使紛争問題が増えるという話も聞きます。この辺りは実際のところどうなのでしょうか?
労働組合を結成するのは労働者の権利ですから、雇用者側が労働組合の結成自体を法律上阻止することはできません。雇用者側としては、労働組合はないに越したことはありませんので、普段からインド人社員とコミュニケーションを取って風通しを良くし、彼らの意見を汲み取れるようにしておくことが重要です。
今後、日系企業が規模を拡大し、工場を持ったり、拠点を増加した場合、労働者も増えていきますので、それに従って労使紛争が増える可能性はあると思います。
--労働組合以外で気にしないといけない点はありますか?
外国企業が抱えている労働問題のほとんどは表に出てきませんが、ストライキのような派手な問題でなく、個々の労働者との紛争も悩みの種です。いったん紛争になれば多大な時間とコストがかかりますので、最も重要なことは、そもそも法律を持ち出して争わなければならないような紛争に至らないように予防することです。
それには、先ほども申し上げましたとおり、風通しを良くして、労働者の考えや不満を知り、対処することが重要だと思います。紛争になりそうだなという時は、できるだけ早い段階で専門家を入れるなりして解決を図ることが大切です。問題がこじれてしまってはにっちもさっちもいきません。