50代で直面する「役職定年」をどのように捉えるか これからの人生、迷惑をかけずに暮らすには

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何をお伝えしたいかというと、定年が75歳ということは、例えば現在50歳であれば、まだ25年も働く人生があるということです(もちろん、働く必要がなく引退できる方は除きます)。前述した役職定年に加え、定年後の再雇用の場合にも大幅な給与削減があります。

ただし、役職定年のときと一点異なるのは、退職金制度は日本の大半の企業で導入されていますので、多くの方には退職金が支給されるということです。

退職金の金額の大小は人によって異なりますが、当然、退職金が支給された後の人生設計をどう考えるのか、というのが大切になります。住宅ローンの繰上げ返済などに充当する場合には、生活していくためにも働き続ける必要がある方も多いのではないかと思います。

老齢基礎年金は月額7万円

65歳からは毎月老齢基礎年金を受け取ることもできますが、2024年現在、満額でも月額7万円弱です。

老齢厚生年金を受給できる方の場合はもちろん受給額が増えますが、病気や突発的な事故などに対する備えも考えると、定年後も働くことを前提に人生設計しておくと安心です。

そして、現在の勤務先で定年を迎え、嘱託社員として再雇用という立場になることについては、人によって相性があるのではないかと思います。

『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』書影
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

今までと同じ会社で働けることは大きな環境変化が少ない可能性もあり、安心な面もあります。年収は下がるものの仕事はあるというのは安心材料ですが、年齢という理由だけで年収減少という運命を受け入れるのか、それとも前もって準備をすることで、自分のやりたい仕事を60代でも、70代でもできるのか。

それはこれからの準備次第です。また、役職定年と同様、今までは自分の部下だった世代の人たちを上司に持ち、働く状態に耐えられるのか、快適に働くことができるのか、もよく考える必要があります。

私自身は40代のときに「職場のお荷物扱い」を何度かされたことがあるため、もう二度とそのような経験はしたくないという思いから、思い切ってリスキリングに取り組みました。

これからの人生を人に迷惑をかけない形で、自分でコントロールしていきたいと考える方には、まさにリスキリングが必要となるのです。

後藤 宗明 一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事  SkyHive Technologies 日本代表

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ごとう むねあき / Muneaki Goto

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士銀行(現みずほ銀行)を経て米国で起業。帰国後、米国のフィンテック企業の日本法人代表などを務めたのち、2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を行うリスキリングプラットフォームSkyHive Technologiesの日本代表に就任。「日本をリスキリング」するため、石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。日本全国にリスキリングの成果をもたらすべく、政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。

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