早期・希望退職制度においては、退職金の割増があることが一般的で、キャリアプランによっては、早めに住宅ローンの返済をして新たな人生に挑むといったことも可能ではあります。
しかし、割増があるといっても限りがあり、早期・希望退職制度を活用してポジティブな結果が期待できる人は、次に挙げた両方の選択肢を兼ね備えている人、もしくはすでに資産があってリスクを取れる方のみではないかと思います。
(b)転職しても収入が下がらない、もしくは上がる人
会社からの強硬な退職勧奨があって、退職せざるを得ない環境にあるなどの場合はここでは除きます。
30代のうちに明確なキャリアプランに沿ってスキルを習得しておけば、早期・希望退職をポジティブな契機と捉えることができます。
しかし一般論で考えると、今働いている組織でそのまま働き続けたいと考えて、会社の方針に従い、上司の言うことを聞いて毎日仕事をしている方に、退職勧奨を含めて突然降ってくる場合が多いのが、この早期・希望退職制度なのではないかと思います。
上場企業の4割に役職定年あり
東洋経済新報社の調査によると、現在上場企業の40.5%において役職定年制度が運用されています。また、公務員についても、2023年4月に役職定年制度が導入され、原則的に60歳で役職定年となることが決まりました。
役職定年の制度が導入された背景には、段階的に進めている定年の延長があります。
高齢化のなか、人件費を圧縮するための措置として理解できる部分もありますが、働く一個人として考えれば、役職定年は明らかな年齢差別であり、同じ仕事を担当していて、能力も劣っていないのに、年齢だけを理由に一律に役職を外され、例えば給与が3割、4割下がるといった事態はおかしなことです。
諸外国においては、年齢による雇用に関する差別を禁止している国も多くあります。
日本においても、役職定年を廃止する動きも出てきていますが、その見返りとして、年齢と関係なく成果が求められる厳しい雇用環境への対応が求められることになります。
外部環境の変化、特にデジタル化が進んでAIが事務作業などを行えるようになる時代には、組織の中で求められる役割が急速に変化していきます。この変化に対応できる人、つまり、リスキリングして新たに求められるスキルを身につけていくことができる人に対しては、年齢ではなく、個々の姿勢や能力によって、今まで通りの働く環境があって然るべきです。
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