国枝慎吾「金メダル4回」叶えたメンタルの鍛え方 こうして車いすテニス界のレジェンドになった

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この日以降、この呪文を唱えるのが日課になった。朝、トイレに行ったときに鏡の前で声に出した。コート上ではラケットにシールで貼って目に入るようにした。常に最強というオーラをまとえ、というアンの教えを忠実に守った。

誤解されがちな「呪文」の真意

国枝は、この呪文の誤解されがちだった部分について振り返る。

「『オレは最強だ!』の認知度が上がるにつれて、国枝慎吾って自信過剰なんじゃないかって思われがちだったんですけど、どちらかというと逆です」

テニスの3セットマッチだと、所要時間は2~3時間。その間、ずっと強気でいられるわけではない。対戦相手が実力的に劣っていても、大抵、相手に試合の流れが傾く時間帯がある。弱気は失敗を引き寄せがちだ。心をクールに保ちつつ、「最強だ!」と叫びながら打つことで、流れを奪い返せることが多いという。

試合だけではない。日常の積み重ねである練習でも、惰性に流されがちな瞬間が訪れる。そんなとき、「世界最強の選手は怠けたりしないはずだ」と自分を鼓舞することで、練習の質を高く保てる。

一般的に、メンタルトレーニングと聞くと、心を強くするイメージがある。しかし、国枝の考え方は違う。

「メンタルを強化するとは、メンタルのテクニックを身につけることだと気づいたんです。『オレは最強だ!』を唱えて、自分を奮い立たせるのも、『サーブを打つ』『ボレー、スマッシュを放つ』『フォアハンドとバックハンドでコースを自在に打ち分ける』といった技術と変わらないという発想です」

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