世界で勝てる企業が第一、雇用保護ありきではない--産業革新機構社長 能見公一
──超円高の状況でも、新工場用地は国内に限るのでしょうか。
ある程度国内の雇用を意識しているので、候補地は国内のみになっている。為替は、さすがに1ドル=80円以下の今のレベルがずっと続くとは考えていない。ただ、もし円高が続くとなれば国内生産比率の引き下げなどは、新経営者の判断として当然出てくると思う。私たちもそうした行動を制限するつもりはない。
──国内生産比率引き下げや工場のS&Bを認めるとしたら、国の雇用をなくす施策に国のファンドがお墨付きを与える形になりませんか。
既存の雇用ありき、が目的ではない。原則はたった一つ。グローバルで戦って勝てる企業になってくれ、ということ。競争に勝つとそれに従って雇用増はついてくるものだろう。競争に負ければ雇用は全部なくなるわけだから。
「ゾンビ企業」化には十分注意している
──16年3月期に売上高を7500億円(現在の約1・3倍)にし、株式上場を果たす計画です。
これが当機構にとってのイグジット(出口)となる。私たちは基本的に、民間財政規律というものを掲げているので、一つのターゲットとしてこの目標を設定した。
──投資期間の4年には、どのような意味があるのでしょうか。
特に理由はない。普通のリスクマネーより長期投資を視野に入れているし、頻繁にリファイナンスしながらやっているファンドとは違うので、今後3年でIRR(内部投資収益率)をいくらにしなさい、などという目標を投資先に押し付けてがんがん揺さぶるつもりもない。