89歳人気YouTuber「夫の遺品すべて処分」した意味 「築57年の団地で一人暮らし」の今がとっても幸せ

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健康維持の一方で、年をとってきて覚えたことは「手抜きをすること」。調理師免許を持ち、食べることも作ることも大好きで、家族と暮らしていたときは、栄養とボリュームを考えて食事はすべて手作りしてきたが、一人暮らしの生活では「ちょっとズルをすること」がポイントだ。

87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし
『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

昼は弁当を買ってきたり、食卓に出来合いのお総菜が並んだりする日もある。

それから夕食作りを一切やめた。晩酌と小さなつまみだけという潔さ。2週間に1度、次男家族が来るときだけ、ご馳走を作って振る舞う。ちょっと甘めで濃い味付けは、料理上手だった父親譲り。

「夕食作りをやめたら、もうすごい解放感です。これは一人暮らしの大発見でした。出かけて帰りが遅くなっても、あわてて帰らなくてもいい。食べた後の洗い物も少なくてすみます」

健康を気にしている人からすれば、「身体によくない」と言うかもしれない。でも、そのための運動であり、健康的な朝食なのだ。

多良さん曰く、健康維持のコツは帳尻合わせ。年を取り、ウォーキングの時間は短くなったが、4階分の階段昇降を毎日やっている。夜に眠れなくても昼寝をすれば1日8時間睡眠をキープできる。小食になったが、朝のスムージーで栄養が摂れているから大丈夫。

「無理をせず、なんとなく帳尻が合っていれば、まあ、いいかと思
うのです(笑)」

規則正しい生活も臨機応変に。「ちょっとしたズル」でキープする。ズルをするといっても、その相手は自分だから、なんの気兼ねもいらないのである。

Earthおばあちゃん
3年前に配信して100万回再生を超えた「ナイトルーティーン」。多良さんの豊かな団地暮らしに多くの人が注目している(画像:YouTube「Earthおばあちゃんねる」より)

毎晩、一日の終わりにしていること

長寿の金言連載
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日々、暮らしていれば何事もないということはない、大なり小なり必ず何かは身に降りかかってくるものだ、と多良さんは思っている。

そして、そういうときに9歳年上だった亡き夫のまなざしを感じるという。発熱しても案外すぐに下がったり、転びそうになっても踏みとどまれたり。失敗したなと思っても大ごとにはならなかったり。

「そういうとき、主人が見守ってくれてるんだな、乗り越えられたのは主人のおかげなんだなと思います」

多良さんは毎晩、一日の終わりに小さな仏壇の中の夫に感謝の言葉を語りかける。

今日も見守ってくれて、ありがとうーー。

Earthおばあちゃん
居間に飾られた、多良さんと夫の写真(画像:書籍『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』〈撮影:林ひろし〉より)
【写真】89歳、団地の4階まで毎日階段で2往復! その「元気の秘訣」がこちら(10枚)
桜井 美貴子 ライター・編集者

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さくらい みきこ / Mikiko Sakurai

1965年生まれ。秋田県出身。出版社勤務の後、フリーランスの編集・ライターとして独立。医療、カネ、性などさまざまなテーマで取材、執筆を続けている。生活実用をはじめとした書籍の企画編集、人物インタビューなど、硬軟の現場を渡り歩く。

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