健康維持の一方で、年をとってきて覚えたことは「手抜きをすること」。調理師免許を持ち、食べることも作ることも大好きで、家族と暮らしていたときは、栄養とボリュームを考えて食事はすべて手作りしてきたが、一人暮らしの生活では「ちょっとズルをすること」がポイントだ。
昼は弁当を買ってきたり、食卓に出来合いのお総菜が並んだりする日もある。
それから夕食作りを一切やめた。晩酌と小さなつまみだけという潔さ。2週間に1度、次男家族が来るときだけ、ご馳走を作って振る舞う。ちょっと甘めで濃い味付けは、料理上手だった父親譲り。
「夕食作りをやめたら、もうすごい解放感です。これは一人暮らしの大発見でした。出かけて帰りが遅くなっても、あわてて帰らなくてもいい。食べた後の洗い物も少なくてすみます」
健康を気にしている人からすれば、「身体によくない」と言うかもしれない。でも、そのための運動であり、健康的な朝食なのだ。
多良さん曰く、健康維持のコツは帳尻合わせ。年を取り、ウォーキングの時間は短くなったが、4階分の階段昇降を毎日やっている。夜に眠れなくても昼寝をすれば1日8時間睡眠をキープできる。小食になったが、朝のスムージーで栄養が摂れているから大丈夫。
「無理をせず、なんとなく帳尻が合っていれば、まあ、いいかと思
うのです(笑)」
規則正しい生活も臨機応変に。「ちょっとしたズル」でキープする。ズルをするといっても、その相手は自分だから、なんの気兼ねもいらないのである。
毎晩、一日の終わりにしていること
日々、暮らしていれば何事もないということはない、大なり小なり必ず何かは身に降りかかってくるものだ、と多良さんは思っている。
そして、そういうときに9歳年上だった亡き夫のまなざしを感じるという。発熱しても案外すぐに下がったり、転びそうになっても踏みとどまれたり。失敗したなと思っても大ごとにはならなかったり。
「そういうとき、主人が見守ってくれてるんだな、乗り越えられたのは主人のおかげなんだなと思います」
多良さんは毎晩、一日の終わりに小さな仏壇の中の夫に感謝の言葉を語りかける。
今日も見守ってくれて、ありがとうーー。
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