トランプ暗殺未遂から聞こえる戦争への足音 「貧すれば鈍する」民主主義を破壊するもの

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今回もさっそく、陰謀説が出てきている。オズワルドもそうだったが、トランプを狙ったトマス・マシュー・クルックスという犯人は、陰謀説の可能性を持つ人物であるようだ。

ユダヤ系の投資会社ブラック・ロックは、この犯人を会社の宣伝動画に使っていて、いかにもユダヤ系資本の陰謀だと勘ぐれるような噂が流れはじめた。もちろん、ことの真相は定かではない。

アメリカを陰であやつるユダヤ人の陰謀説ということなのか。さすが、これは飛躍しすぎる話であり、慎重な捜査が待たれるところであるが、噂は勝手に政治を動かしていく。戦前のドイツのヒトラーのように、ユダヤ人の謀略を宣伝にしかねないとも限らない。

憎悪が憎悪を呼ぶ陰謀論

今のところ、犯人捜しよりもシークレット・サービスのミスを追求することで、こうした陰謀説への流れへの歯止めがかかっている。

しかし、これがロシアやイラン、ウクライナなどによる陰謀説だとなると、それは世界大戦の引き金になる可能性もある。憎悪が憎悪を生み出し、戦争へのエネルギーと蓄積するからである。

トランプへの批判の多くは、彼が民主主義を否定するからだという。とりわけバイデンはそのことを強調する。しかし、皮肉なことに民主主義は民衆の意を反映したものが民主主義である以上、バイデンだけが一方的に民主主義というものを規定することができないのも確かなことだ。

トランプが2021年の国会議事堂乱入を扇動したかのように、クーデターでも行えば制度としての民主主義を破壊したことで、トランプは非民主的であるということがいえるだろう。

しかし、非民主的であると決めつけて、トランプを選挙以外の手段で抹殺すれば、それを行ったものこそ非民主的だということになる。

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