就活生は、だいたい「出産適齢期」を知らない 男女とも、このことを知っておこう

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恥ずかしながら、筆者も20代後半に検診で産婦人科を訪れるまで、「卵子の老化」というものを知りませんでした。結婚後は数年間赤ちゃんを授かることができず、いろいろと苦しい思いをしたこともあります。幸い子宝に恵まれ、本書で出産適齢期ギリギリとされる30代前半に出産できましたが、やはり20代のうちに出産をしておけばよかったかもしれません。思いがけず早産となってしまい、予想以上に体力の回復も遅かったからです。産後2カ月で仕事復帰したものの、産前と同じようにキビキビと動けず、しばらくはもどかしい日々を送りました。

しかも、ライフプランなどほぼ考えたことがなく、20代は公私ともにご縁と直感重視で駆け抜けました。結果として、多くの方々のご厚意のおかげでここまでやってこれたという状況で、今も綱渡りの毎日です。結婚前に本書に書かれているような知識と出合えていたならば、産休や育休など制度的サポートのない現在のフリーランスという働き方ではなく、育児が落ち着くまでは正社員でいるなど別の戦略を選んでいたかもしれません。

というわけで、筆者のようなしくじりパターンにならぬよう、是非とも就活生の皆さんには、今のうちから正しい知識を持ち、自分にとって望ましいキャリアと家庭生活を叶える方法論について考えていただけたらと思っております。

企業選びの参考になる一冊

戦略を立てる上では、白河氏による「3限 結婚」と「4限 仕事と子育ての両立」が役立つでしょう。パートナーに依存せず働き続ける覚悟の重要性を改めて認識できる上、「産める企業」の選び方や「産める働き方」について具体的に書かれているので、企業選びの参考になると思います。

男性は、特に「男子のためのワーク&ライフバランス講座」をお見逃しなく。少子化を救うカギが男性であることを理解できるだけでなく、共働きがいかにお得かといった視点にもふれられており、将来パートナーとどのような生活を送りたいか、ひいてはどのような働き方をしたいかを考える参考になるのではないでしょうか。

とはいえ、どんなに計画を立てても人生は何が起こるかわかりません。選び抜いたはずの就職先や結婚相手が結果的に最良ではなかったということはよくある話ですし、特に妊娠・出産は努力が必ず実を結ぶものではありません。しかし、知識によってある程度リスクを回避できますし、知ることで視野は広がり、夢を叶えるための最善策と出会えることもあります。本書は、そういった“幸せに近づくための知識”が満載の一冊。「いつか産みたい」と考える方は、是非手にとってみてはいかがでしょうか。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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