新型コロナウイルスやウクライナ侵攻も他国ほど影響はないものの、構造的に弱い日本経済に混乱をもたらし、現在でもGDPは2018年の水準まで回復していない。つまり、トランプショックも予想以上の悲劇をもたらす可能性があるということだ。
トランプは「ビジネスマン」だという幻想
政府関係者や企業経営者の中には、トランプはビジネスマンとして経済にとっていいことをするだろうから、無謀な行動は控えるだろうと主張する人もいる。これは希望的観測だ。トランプは、長期的な権力と富を高めると考えることに突き動かされているのだから。
実際、トランプは自らの政策によって助けたいと主張する人々に害を与えても支持を拡大してきた。中国からの輸入品に25%の関税、同盟国には25%の鉄鋼関税をかけることで、少なくとも全国で20万人の工場雇用が奪われたが、輸入を制限するために関税が最も効果的だった選挙区でも雇用はほとんど創出されなかった。
それどころか、いくつかの選挙区では雇用が減った。これは、鉄鋼の雇用増加分が、自動車や家電製品のような鉄鋼を消費する産業の損失によって相殺されたためである。
何年もの間、日本のリーダーたちは、共和党を開放貿易の推進者と見て好んできた。しかし、それは共和党の献金者のスタンスに過ぎなかった。実際、2021年のギャラップ世論調査によると、輸入品を脅威とみなす共和党支持者は民主党支持者では18%だったのに対して、共和党支持者では51%に上った。
日本の半導体製造装置メーカーを含むハイテク株は、トランプ大統領が「もし自分が彼らだったら、今はそれほど安心できないだろう」と台湾防衛に対するアメリカのコミットメントを切り捨てたことに動揺した。台湾有事は世界経済を大きく揺るがしかねない。
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