実際、トランプはこんな発言をしている。
「彼ら(台湾半導体製造公社=TSMC)は我々の半導体産業のほぼ100%を奪った……そして今、彼らがこの国で半導体を製造するのにも数十億ドルを出資していて、それももっていくつもりだ。言い換えれば、ここで工場を設立しても、彼らはすべてを自分の国へ持って行ってしまう」
トランプが純粋に信じている政策スタンスは多くないが、経済ナショナリズムはその1つだ。彼の新たな貿易戦争は、過去をしのぐものになると見られ、世界の供給網を混乱させ、計り知れない影響を及ぼす可能性がある。
何でもかんでも関税を課す可能性
同時にトランプの関税政策は、アメリカのGDPにも16%という大きな影響を与えるだろう。必要不可欠な部品が手に入らなくなったり、価格が突然2倍になったりしたらどうなるだろうか?2011年の東日本大震災で世界中の自動車生産が中断されたときを思い出してみてほしい。
日経アジアの報道によると、iPhone 15 Pro Maxのコストの10%は日本製の部品だ(これはアメリカ33%、韓国29%に次ぐ)。だが、ほとんどが中国で組み立てられていることから、ほぼすべての部品に60%の関税を課す可能性がある。
1期目は中国がトランプの主な標的だったため、日本の通商関係者の何人かは「安心した」と語っていた。だが、今回日本はさらに大きな「巻き添え被害」を被るだろう。日本の対中輸出は、中国の対米輸出にかかっているからだ。
過去四半世紀の間、日本の対中輸出の伸びと中国のGDPには50%の相関関係があった。しかし、日本の対中輸出と中国自身の対米輸出の間には、75%というはるかに大きな相関関係があった。韓国とユーロ圏も同様である。日本の輸出と韓国のGDPの伸びには50%の相関関係があるが、韓国の対米輸出には74%の相関関係がある。
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