ヴィレヴァン300店巡って見えた「人材育成の失敗」 POPを書けない、サブカルに疎い店員増加の背景

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もちろん、採用事情は時期によっても異なるはずなので、「私はすぐに正社員になれた」という人もいるだろう。しかし、ハードルの高さは昔からあったようだ。例えば2006年、『商業界』のインタビューで創業者の菊地氏は以下のように語っている。

「うちは幸いヴィレッジヴァンガードを好きな人が支持してくれて、従業員として飛び込んできてくれる。それで、申し訳ないけれども3年半は地域の最低賃金で耐えていただき、じっくり仕事ぶりを見させていただきます。それで受かって正社員になったら、給料はものすごく高くもないけど、安くもないよと」

今は「働く人を大切にできるか」が問われる時代だ

ドンキにはなぜペンギンがいるのか (集英社新書)
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どうやらヴィレヴァン、本当に「マズい」ことになっているようだ。個人的には、業績どうのこうのの話よりも、よっぽどマズい気がする。なぜなら、ヴィレヴァンのような「世界観」をウリにする会社は、働く人こそが一番の財産のはずだからだ。無形資産を軽視し、せっかく育った人が離れるようでは、会社の長期的な成長は考えにくい。

ヴィレヴァンを論ずる時、ネット上では「POS導入により、商品ラインナップが……」といった話が出がちだが、もちろんそういった面でも語れるのだろうが、なんというか“悪い意味での日本企業らしさ”こそが問題なのではと思えてくる。

しかし、ヴィレ全さんの話はまだまだ続く。ということで後編では「品揃えや、出店戦略の失敗」について伺っていこう。

後編記事はこちら:ヴィレヴァン300店巡って見えた「品揃えの失敗」  「遊べる本屋が魅力」を失った本質的な要因

日本中のヴィレヴァンを訪れている立場から、ヴィレヴァンの現状を語ってもらった。人材育成がメインとなった前編に続き、後編では「商品の仕入れ」に焦点を当てる(写真:ヴィレ全さん提供)
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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