「発達障害で親から毎日叱責」彼女が見つけた幸せ 「障がい者向けマッチングアプリ」が導いた出会い
その頃から結城さんは、叔父のような人の役に立ちたいと強く思うようになったと話します。大学卒業後には製薬会社のMRに就職。仕事では精神障害者の話を聞く機会が多くありました。そこで、障がいを打ち明けることに対する不安が、人間関係を築くうえで大きなハードルとなっていることを知ります。
そこで知人の精神科医と協力し、障がい者を対象にどんなことに困っているかを調査しました。その結果、悩みの半数が人間関係に関するもので、続いて多かったのが恋愛・結婚に関する悩みでした。特に回答が多かった悩みは、以下のようなものでした。
「外見で判断されず、趣味や好きなことを通したつながりがほしい」
「障害を打ち明けた瞬間に拒絶されたことがあり、傷ついた。障害を打ち明けることを躊躇してしまう」
「出会いがほしいが、騙されないか不安で踏み出せない」
この経験から、2020年に障害者向けのマッチングアプリを立ち上げようと決心し、2年の開発期間を経て、2023年IRODORIをリリースしたのです。
障がいを持った方が安心して利用できるように、前出の工夫に加えて、視覚障害者が登録しやすいように読み上げ機能を搭載しました。一般的なマッチングアプリはテキストメッセージが中心ですが、知的障害のある方から「文章が苦手」という意見をもらったためライブ配信機能(グループ通話)も追加しました。
また、女性ユーザーから「同性の友だちを作りたい」という要望があったため、期間限定で女性同士のマッチング機能も搭載したそうです。
「子どもは絶対かわいがれない」
前出のエミさんも、こうした機能に助けられ、新しい出会いに恵まれました。
実はエミさんはIRODORIに登録する際、プロフィール欄に「育てる自信がないから子どもは要らない」と明記していました。障害が遺伝するかもしれない、それに自分の収入で子どもを育てていけるのか心配だったからと話します。
「何より、親から言われ続けてきたことがずっと心に残っていて、どうしても自分のことを好きになれず、自分の血を受け継いだ子どもは絶対かわいがれないと思いました」(エミさん)
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