「発達障害で親から毎日叱責」彼女が見つけた幸せ 「障がい者向けマッチングアプリ」が導いた出会い

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エミさんはその後、障害者雇用で働くこととなりました。手取りは17万円。それまでのアルバイト生活と比べても生活環境が整ったと言います。おかげで自分のことを考える余裕が少し生まれ、出会いを求める気持ちも出てきました。

そこで、同じ悩みを持つ人とつながりたいと思い、大阪にある発達障害者が集まるカフェに行った際、障がい者向けのマッチングアプリ「IRODORI(いろどり)」の存在を知りました。

現在、累計ダウンロード数は4万以上と堅調に利用者を増やしているアプリです。報告された数だけでも200組以上のカップルが誕生しています。

年齢層は、20、30代が最も多く全体の約6割、次いで40代が多いそうです。ユーザーの約6割が精神障害者(発達障害やうつ病等)で、身体障害者は約2割、知的障害者は約1割程度といいます。

心配なのは、トラブルです。見ず知らずの人と高度なコミュニケーションが求められるマッチングアプリで、例えば、会話のキャッチボールが苦手とされる発達障害の方や知的障害の方が安全にアプリを使いこなすことが可能なのでしょうか。

「障害者手帳」または「お薬手帳」の提出を義務付け

「一般的なマッチングアプリでは、登録時に身分証の提出が求められず、年齢や性別を偽って相手を検索することが可能です。マッチングして相手にメッセージを送るタイミングではじめて身分証の提出が必要になるのが標準的な設計なのです。

IRODORIでは登録審査を厳格に行っており、登録時に顔写真、身分証、障害者手帳または障がいが軽度の方はお薬手帳の提出を義務付けています。顔がはっきりと写っていない写真は審査を通過できません」

そう語るのは、IRODORIの事業責任者の結城伊澄さんです。

結城さんは10代の頃、医師や臨床心理士からADHDの可能性を指摘されました。学生時代は学校生活に馴染めず息苦しさを感じたり、衝動的に学校を飛び出してしまったりすることもあったと言います。

そうした自身の経験に加えて、ある存在が結城さんの人生観を変えました。

「幼少期、近所に知的障害をもつ叔父が住んでいました。私にとって叔父は一緒に楽しく遊んでくれる“普通の大人”でした。でも、成長するにつれて、叔父が収入の安定した正規の仕事になかなか恵まれず、孤立しがちな生活を送っていることに気づいたんです」(結城さん)

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