佐久間宣行「不祥事の渡部建」起用に学ぶ育成術 大バッシングが止まぬ中で再起の場を与える
そんな企画で、佐久間さんは時に笑い、時にツッコミ役になり、何を話しても受け止めてくれる安心感のある雰囲気で、板倉さんの話の聞き役になっていました。一緒に場に立ち、試行錯誤しながら、信頼関係を醸成していったからこそできた企画なのではないかと思います。
この話を企業の人材育成に置き換えてみても、部下に「ああしろ、こうしろ」というと反発されたり、理解されにくい場合も、上司が時には場に立ちながら誰よりも本気で向き合う姿勢を見せていれば、おのずと周りも引き込まれて本気で取り組むようになるのかもしれません。それが全体の士気やレベルの底上げにつながります。
失敗した人材に、再起の場をつくる
さらに佐久間さんは、いわゆるくすぶっている“ミドル芸人”の、新たな活躍の場を作るのが非常にうまいと思います。これらのケースでも、共に場に立ちながら再起の場を作っています。
お笑いの世界において才能のある若手がどんどん出てくる一方で、見上げれば大御所の芸人さんばかり。その構造の中で、大体40歳前後のミドル世代の芸人はくすぶりやすくなってしまいます。またミドル世代の芸人の中には、自身の冠番組が終了したり、不祥事を起こしてテレビに出る機会を失う、あるいは失言をきっかけに世間からヘイトを集めてしまうケースも見受けられます。
アンジャッシュの渡部さんは、2020年に世間から大バッシングを受けた公衆トイレ不倫騒動以降、地上波の出演が厳しくなってしまいました。渡部さんはその後、千鳥さんがMCを務めるABEMAの人気バラエティ『チャンスの時間』で徐々に復帰の兆しを見せていました。
そんな渡部さんの復帰をさらに推し進めた番組が、佐久間さんが企画演出・プロデューサーを担当するNetflixの『トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』シーズン2(2023年10月から配信)です。この番組は、出演する芸人たちがエピソードトークを披露して、面白くなければ即脱落する“お笑いサバイバル”企画です。
渡部さんの身を削った自虐トークの数々には、視聴者から「面白すぎる」「振り切っている」と大きな反響がありました。番組自体も大成功で、Netflixの視聴ランキング(日本の総合TOP10)で1位を獲得しました。
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