羽田空港には目下のところ、私鉄の京急線と東京モノレールの2路線が乗り入れている。ただ、困ったことにどちらを使っても、最大のターミナル駅である東京駅をはじめ、外国人に人気の新宿、池袋などには直通では行けない。乗り換えが必要だ。
ところが、成田空港からであれば「成田エクスプレス」に乗れば、これらの「人気の街」に乗り換えなしで直行できる。そのうえ、外国人短期滞在者の特権とも言えるJR路線全線周遊券「ジャパンレールパス(JRパス)」を使えば、追加料金なしで成田エクスプレスに乗れるのは大きい。
非常にシンプルな理由だが、これは結構、インパクトが大きいのだ。「訪日する自由旅行者は皆、JRパスを持っているのか」という疑問もあるかもしれないが、同パスの券面価格は普通席用7日間で2万9190円と、東京〜新大阪間を新幹線で1往復すれば、ほぼ元が取れるという優れものだ。新幹線の「のぞみ」と「みずほ」には乗れないという制約はあるものの、成田エクスプレスをはじめとする在来線特急は、基本的に追加料金なしで利用できる。
JRパスでモノレールを利用できるが・・・・
一方、羽田空港の関係者から「JRパスがあれば東京モノレールにも乗れる」という主張が聞こえて来そうだが、重いスーツケースを転がして浜松町駅で山手線に乗り換えるのは日本人のボクでもできれば避けたいことのひとつ。しかも慣れない訪日客にそれを強いるのは無理な話だろう。
ちなみに、日本行き海外発航空券の料金をざくっと眺めていると、羽田は「都心に近い」という理由で成田着より若干高い。さらに言えば、成田にしか飛んでいない航空会社のほうが相対的に安いという事情もある。彼ら自由旅行者の日本滞在期間は、おおむね2週間以上。「都心までの交通に1時間余分にかかっても、JRパスが使えて快適楽チンなら成田に行こう」と考えるのは当然の流れなのだろう。
2020年の東京五輪開催の折には、想像以上に大勢の外国人が日本へとやってくる。「羽田は都心に近いから、皆、こちらを使うだろう」とあぐらをかいていたら大間違い。成田と羽田の「利点と欠点」を明確にして、使い分けの選択肢を提案してみるという発想は生まれないのだろうか。
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