ゼネコン技術者「現場女子」が4人に1人の就活実態 「建築デザイナー人気」を背景にこの10年で倍増

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ゼネコンなど建設業への就職人気は、大規模プロジェクトが数多く進行しているときに高まるとされる。1993年から2000年にかけては、東京湾アクアラインや六本木ヒルズなどの工事が進んだことで業界への注目が高まった。

その後、建設不況とともに人気は落ち込んだが、近年は都心部での大規模再開発プロジェクトやリニア新幹線工事などが進行していることが学生の志向に影響を与えていると考えられる。

建設業に再び注目が高まる中で、とくに現場女子を目指す女子学生が増えているのはなぜか。ものつくり大学の教授たちは、「建築デザイナー人気が背景にある」と指摘する。

「最近の学生は、住宅やビルをデザインするような建築デザイナーの仕事を希望する人が増えている。著名建築デザイナーの隈研吾氏のような存在に憧れる人が多い」と田尻教授は話す。

技能工芸学部長の大垣賀津雄教授も、「建築デザインの分野はもともと人気があったが、住宅のビフォー・アフターなどのテレビ番組が影響して、さらに注目が高まっている」と考える。

成績上位には女子学生がずらり

両教授によると、最近の学生はまじめで大学で学ぶ目的を明確化しており、意見もしっかりと言える。「とくに女子は優秀で、成績上位は女子学生がずらりと並ぶ」(田尻教授)。

就職の際、男子学生はスーパーゼネコンや準大手ゼネコンといった「会社の規模」を求める傾向にある。それに対して女子学生は「目的や業種」で選ぶ傾向が強いという。

そのため、建築デザイナー人気の高まりとともに、「デザイン分野へ挑戦したい」などと業種を絞って就職先を考える女子学生が増えているようだ。とはいえ、建築デザイナーのパイは限られている。

ものつくり大学
埼玉県行田市に校舎を構えるものつくり大学は、ものづくりの理論と実技を融合したカリキュラムを徹底する。現在、全生徒のうち15~20%が女子学生だ(記者撮影)

「デザイナー志望で大学に入ってきても、出口(就職先)としてはゼネコンや公共工事(自治体などの土木分野)に行く人が多くなる。4年間の在学中にものづくりの本筋を学んでいくうちに、ほかの業種(建設施工管理者など)の魅力に気づくのだろう」。大垣教授はそう指摘する。

実際に、準大手ゼネコンの入社6年目の女性社員(東北圏の大学を卒業)は、次のように説明してくれた。

「ビフォー・アフターのテレビ番組を見て、『建築ってカッコいいな』と思った。大学を選ぶ際も、『建築は楽しそうだ』とフワっとした感覚で専攻を選んだ。デザイナーのカッコよさに惹かれたが、在学中に意識が変わり建設技術者を目指すようになった」

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