消費者行動を研究するコロンビア大学経営大学院教授のギタ・ジョハーは、「マスクは自身のイメージに合わせてXを作り変えることができる」と指摘する。「莫大な数のフォロワーを抱える彼は、さまざまな問題や政治的立場について発言することをはばからない」。
ほかのテック企業幹部はすべて沈黙
マスクはさらに、テック業界が民主党候補を支持しているという概念をひっくり返した。近年はSNSプラットフォームがトランプをはじめとする共和党員を検閲してきたという不満が渦巻いているにもかかわらず、SNS運営企業の上級幹部には民主党候補を表立って支持している人はいない。
メタの創業者であるマーク・ザッカーバーグは、政治について投稿することはめったにない。ツイッターの元最高経営責任者(CEO)ジャック・ドーシーは、3年前にCEOの座を退いてから初めて、政治的な話題について率直に発言するようになった。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラとグーグルCEOのスンダー・ピチャイも政治的な見解については、リンクトインとユーチューブという、それぞれが持つソーシャルプラットフォーム上で沈黙を貫いている。
トランプを支援する新たな特別政治活動委員会(スーパーPAC)は、マスクからの支持表明だけでなく献金も受けられそうだ、とニューヨーク・タイムズは15日に報じた。「アメリカPAC」の創設寄付者には、マスクとつながりのある裕福なテック系起業家が複数含まれている。
マスク、X、トランプ陣営は、この記事に対するコメントの求めに応じなかった。
「自分のことしか考えない傲慢な億万長者は、アメリカが望むものでも、アメリカが必要としているものでもない」。バイデン陣営のスポークスパーソン、ジェームズ・シンガーは声明で、「イーロンは、トランプがアメリカを売り渡す輩であることを知っている」と述べた。