特有の時間スケールで地球は刻々変動する--『地球の中心で何が起こっているのか』を書いた巽好幸氏(海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域プログラムディレクター)に聞く
──その日本でも火山のある地方とない地方があります。
プレートはマントルの中に入っていくと締め付けられて水が出てくる。水は融点を下げ、マグマができる。世界のどこでも同じくらいのプレートの深さでは、上に火山ができている。深さ110キロメートルと170キロメートルがマジックナンバーだ。含まれている鉱物がその深さで水を出すからと説明される。東北地方では見事に火山が2列に並んでいるし、近畿地方には兵庫県北部を除けば火山は分布せず、それを裏付けている。
──沈み込み帯では火山ばかりでなく、大陸も生まれるのですか。
大陸地殻は、沈み込み帯、それも海域の沈み込み帯でのマグマ活動の産物だ。簡略化して言えば、沈み込みが大陸を作る。しかも海の中で作っている。同時に、沈み込み帯のマグマ活動で作り出された廃棄物は、マントルの中を循環して、ホットスポットと呼ばれる場所のマグマにリサイクルされる。
──地球はまさに「生き物」。
自然に対する畏敬の念を持て、とよく言われる。畏敬の念を持つかどうかは人それぞれだが、地球とは、そして自然とは変動するものと認識しておかないと、特異な現象の理解もうまくいかない。特に日本は変動が当たり前と受け入れての準備が下手だ。今の日本の状況は場当たり的すぎるといえないか。
たつみ・よしゆき
1954年大阪府生まれ。京都大学理学部卒業。東京大学大学院理学系研究科(地質学)博士課程修了。英マンチェスター大学研究員、京大総合人間学部教授、同大学大学院理学研究科教授、東大海洋研究所教授などを経て、現職。専門はマグマ学。著書に『沈み込み帯のマグマ学』『安山岩と大陸起源』。
(聞き手・本誌:塚田紀史 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年9月24日号)
『地球の中心で何が起こっているのか』 幻冬舎新書 819円 211ページ
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