特有の時間スケールで地球は刻々変動する--『地球の中心で何が起こっているのか』を書いた巽好幸氏(海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域プログラムディレクター)に聞く
──では、水はどこから。
諸説あって結論は出ていない。隕石が起源との見方がある。隕石は水分を、いちばん多くて十数%含む。太陽系のガスの中の水が集まった、あるいは氷の固まりの彗星がぶつかってできたという学者もいる。ただこの2説では、純水素の量が地球上の水と少し違う。隕石の水の場合はほとんど同じなので、主な起源は隕石というのが主流の見方だが、起源は一つとは限らないので定説になっていない。これは、大気の起源でもそうだ。
──日本列島は火山の密集地帯になっています。
プレートがその重さで沈み込んで火山ができることは、多くの人が知っているはず。プレートがぐっと沈み込むとマグマができ、火山が形成される。たとえば地球上でいちばん古いプレート、太平洋プレートは日本海溝から沈み込んでいる。
──古い?
2億年ぐらい。地球の歴史からすると若いが。プレートはマントルに沈み込んで消えていくから、古くても若い。このプレートは太平洋のアメリカ側の海洋大山脈「海嶺」で作られる。古いということは冷たい、冷たくなると重くなり、沈み込みが早い。それで日本列島は世界で最も火山の密集する地域になった。
──日本には108の活火山があるとか。
活火山という言い方は正しくはない。噴火するのかどうか、目先を考えてしまう。火山の寿命は何十万年もあり、人間の時間スケールと比べるとはるかに長い。特に休火山や死火山という言い方は意味がない。