日本はソリューションの成長に期待できる、中国に匹敵する成長の可能性も--郡信一郎・デル日本法人新社長
かつて、独自の直販スタイル「ダイレクト・モデル」でパソコン(PC)販売の一時代を築いたデル。だが、PCを取り巻く環境は大きな変化を遂げている。CPU(中央演算処理装置)などの主要部材メーカーの寡占化が進み、完成品メーカーによる大きな機能の差はなくなった。
組み立て加工はいかに安く作れるかが課題となり、台湾、韓国、中国企業などが着々と力をつけ、2005年にはIBMがPC部門を中国のレノボに売却。日本でも、日立製作所は事実上PCから撤退、NECもこの7月にレノボと合弁を設立した。さらに、8月には世界最大のPCメーカー、米ヒューレット・パッカードがPC部門分離、売却の方針が報じられたばかりだ。
中国企業に追い上げられ、何年もの間苦しい戦いを強いられてきたデル。もちろん手をこまぬいていたわけではない。1996年にサーバー事業に参入。07年にストレージ事業、09年にシステム開発、10年にはネットワーク事業と、次々に買収を行い、総合IT企業に変貌を遂げつつある。だが、デルはPCをやめるつもりはない。
デルの今後の戦略について、11年6月、デル日本法人(デル株式会社)社長に就任した郡信一郎氏に話を聞いた。
--デルにとって日本は、かつては量販店モデルの導入など、テストマーケットという存在でしたが、現在の位置づけは。
デルは18年前に日本での販売を開始したが、日本市場の重要性は変わっていない。ハードの市場規模では中国は確かに大きい。が、サービスマーケットの観点からすれば、日本はアジアの60%を占めている。むしろ日本の重要性は高まっている。日本人であることについて特に感慨はない。ただ、社長就任以来、お客様を回ってみて、通訳を介さずに話ができることのメリットは感じている。
--2010年に3つの戦略を打ち出されました。最初に掲げられたのが「ソリューション」です。
ソリューションもPCのビジネスと同様で、いかにお客様の問題解決に役立つか、と考えると、顧客ごとに答えが違う。同じ仮想化に取り組むにしても、業種によってアプローチの手法が異なる。