リポビタンD「時代錯誤CMで炎上」に見る栄枯盛衰 "女人禁制"からの方向転換が問題表現に?【後編】
そして現在、アリナミンの「アリナミンV」はスーツを着こなした反町隆史、ユンケル黄帝液はイチロー、久光製薬のエスカップは出社前の向井理をCMに登場させているように、ほとんどの栄養ドリンクはサラリーマン向けに作られている。
しかし、チオビタのCMでは水川あさみが母親役を演じている。そう考えると、栄養ドリンクのターゲット層はかつてよりも男女問わず、広がったといえるだろう。
今回の主題であるリポビタンDは、チオビタのように筋肉隆々の男たちを封印して、新たなターゲットにリーチしようとした。しかし、長年スポーツ選手やマッチョマンたちに頼ってきたため、すぐに多様性の時代にマッチしたCMを作ることができなかったのだ。
それを証明するかのように、たしかに本家のリポビタンDのCMでは筋骨隆々の男たちが排除されたが、現在放送中のリポビタンDのエナジー風味のゼリー飲料「リポビタンゼリー」のCMでは、長年リポビタンDのCMに登場してきたケイン・コスギがオフィスを舞台にスーツを着て「ゼリー!」と叫んでいる……。物事が早々に変わることはできないのだ。
エナドリに追いやられる栄養ドリンク
リポビタンDに限らず、栄養ドリンクの市場規模は年々縮小している。
筆者の「リゲインもほぼ消滅『栄養ドリンク』衰退の背景」という記事では、国内の「疲労回復のための飲み物」の座が栄養ドリンクから、「レッドブル」や「モンスターエナジー」などのエナジードリンク(以下、エナドリ)にお株を奪われているという現状を紹介した。
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