リポビタンD「時代錯誤CMで炎上」に見る栄枯盛衰 "女人禁制"からの方向転換が問題表現に?【後編】

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そして現在、アリナミンの「アリナミンV」はスーツを着こなした反町隆史、ユンケル黄帝液はイチロー、久光製薬のエスカップは出社前の向井理をCMに登場させているように、ほとんどの栄養ドリンクはサラリーマン向けに作られている。

しかし、チオビタのCMでは水川あさみが母親役を演じている。そう考えると、栄養ドリンクのターゲット層はかつてよりも男女問わず、広がったといえるだろう。

今回の主題であるリポビタンDは、チオビタのように筋肉隆々の男たちを封印して、新たなターゲットにリーチしようとした。しかし、長年スポーツ選手やマッチョマンたちに頼ってきたため、すぐに多様性の時代にマッチしたCMを作ることができなかったのだ。

栄養ドリンク
今年4月には、第一三共ヘルスケアが「リゲイン」の主力商品の出荷を終了。バブル期には流行語を生むほどの影響力があった栄養ドリンクは、衰退の一途をたどっている(筆者撮影)
50mlのこのタイプがなくなった。そもそも「リゲイン」を見つけることが、それなりに難しくなっている(画像:第一三共ヘルスケアHPより)

それを証明するかのように、たしかに本家のリポビタンDのCMでは筋骨隆々の男たちが排除されたが、現在放送中のリポビタンDのエナジー風味のゼリー飲料「リポビタンゼリー」のCMでは、長年リポビタンDのCMに登場してきたケイン・コスギがオフィスを舞台にスーツを着て「ゼリー!」と叫んでいる……。物事が早々に変わることはできないのだ。

エナドリに追いやられる栄養ドリンク

リポビタンDに限らず、栄養ドリンクの市場規模は年々縮小している。

筆者の「リゲインもほぼ消滅『栄養ドリンク』衰退の背景」という記事では、国内の「疲労回復のための飲み物」の座が栄養ドリンクから、「レッドブル」や「モンスターエナジー」などのエナジードリンク(以下、エナドリ)にお株を奪われているという現状を紹介した。

エナドリ
エナドリは、ビジュアルから洗練されているのだ(筆者撮影)
エナドリの写真
なお、こちらは筆者が以前、愛飲していた「ZONe」。コスパがよく、レッドブルが250mlのロング缶で300円近くするのに対し、ZONeは200円で500mlも飲めたわけだが、「お得感」から栄養ドリンクよりエナドリを選ぶ人は少なくないのではないか(筆者撮影)
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