リポビタンD「時代錯誤CMで炎上」に見る栄枯盛衰 "女人禁制"からの方向転換が問題表現に?【後編】
ただ、Yahoo!コメントやSNSの反応を見てみると、中高年と思われる者たちの「エナドリは量が多すぎて飲めない」という声が目立った。確かに、エナドリは若者を中心に勢力を伸ばしているから売れているのであって、中高年には「なんだか身体に悪そう」というイメージが強いため、それよりも栄養ドリンクへの信頼感は厚い。
実際、前回、前々回の原稿執筆のために、何本もエナドリや栄養ドリンクをたくさん買って冷蔵庫で冷やしていたのだが、エナドリはすべて筆者が飲み干し、栄養ドリンクは同居している母親がチビチビ飲んでいた。
やはり、得体の知れない「舶来品」よりも昔からある栄養ドリンクのほうが、親しみがあって手に取りやすいのだろう。そして、そのイメージを作り上げたのが、広告やテレビCMだったわけだ。
たかが広告、されど広告
しかし、長い時間かけて親しみを築くことに成功した栄養ドリンクも、消費者の多様化、時代の変化によって、マーケティング戦略が難しくなった。
その一方で、エナドリは「アガる」「疲労回復」「カッコいい」というコンセプトを全面的に打ち出し、スポーツイベントや音楽フェスなど、若者が集まる場所でプロモーションをかけていき、結果的に洗練されたイメージを定着させることに成功した。
「翼をさずける。」という、フワッとしながらも「なんかクール」なコピーで若者の心を掴んだレッドブルと、「仕事、育児、家事。3人自分が欲しくないですか?」という、抽象的でありながらも、しっかりと、十分頑張っている現代人に現実を突きつけてくるリポビタンD。どちらが良いか悪いかではない。しかしながら、CMやコピーの表現に対するスタンス・考え方は、根本的に異なっていそうだ。
今後も若者層をエナドリが獲得し続ければ、栄養ドリンクを飲む層は年々減少していくだろう。その前に、この多様性の時代に適応できるのか? 消費者のニーズを汲み取ることができるのか? たかがCM、されどCMなのだ。
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