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消費者金融アコム、幻のテレビCMで露呈した広告規制の抜け穴。「妹の結婚式シリーズ」も"放送できるギリギリの内容"

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アコム看板
テレビでは放送できないアコムの新CMが、結果的に“新たな広告展開モデル”を生み出している(記者撮影)

消費者金融最大手のアコムが制作した新しいCMが、一部の業界関係者の間で物議を醸している。

CMの内容は、結婚を控えた女性2人が独身生活の最後を謳歌するためアフリカ旅行の計画で盛り上がるストーリー。「でもお金がなぁ」と、旅行費用に悩むところで2人の会話が終わり、その後にアコムが三菱UFJフィナンシャル・グループ系であることと、「はじめてのアコム」というお決まりのフレーズが流れてCMが終わる。

このCMはYouTubeなどオンライン上で見ることができるが、テレビで放送することは許されない。日本貸金業協会の広告審査をクリアできなかったからだ。

「表現できる内容」が厳しく制限

貸金業者が展開する消費者金融の広告は、貸金業法とその施行規則、さらには自主規制によって非常に細かく規定されている。そのうえ、テレビ、新聞、雑誌、電話帳に広告を出す場合には、必ず貸金業協会の審査を受けることになっており、審査をクリアしたものしか出稿できない。

いずれの媒体でも「表現できる内容」が厳しく制限されているほか、借りすぎへの注意を促す「啓発文言」などを表示することも求められる。大手消費者金融の幹部は、「厳格な規制のもと紙媒体ではほぼ企業名しか載せられず、テレビでは企業ブランド広告しか流せない」と語り、「自社のサービスを訴求することは不可能だ」と規制の厳しさを口にする。

さらにテレビCMは、民放連(日本民間放送連盟)が定める貸金業者向けの厳格な規定もクリアする必要がある。一例を挙げれば、「児童・青少年への配慮」から動物やキャラクターをCMで使用することはできない。かつてアイフルがCMで使用したチワワの可愛さに、全国の子どもたちが釘付けになってしまったことが関係しているようだ。

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