小海線における山梨県内最後の駅は、清里駅である。1980年代にはやたらと若い女性に人気のリゾート地として注目され、ファンシーショップやタレントショップの類いが建ち並んだこともある。いまでも駅前にはそうした風情がいくらか残っている、八ヶ岳山麓のリゾート地という本質を取り戻しているようで、レジャー客の姿が目立つ避暑の町だ。
そうして小海線は清里駅を出てからほどなく県境をまたいで信州、長野県に入る。標高1375m、鉄道標高最高地点は県境の少し長野側にある。
山へ走る鉄道を満喫
日本最高峰の富士山を持ち、北も南も東も西も、すべて山の中という山梨県。そこを走る鉄道は、どこをどう切り取っても山登り。いまでこそ、さしたる苦労もないように登ってゆく列車ばかりだが、蒸気機関車の昔はたいそう苦難もあったのだろう。
いまは使われていないスイッチバックの駅もあるし、くねくね走った旧線を付け替えたトンネルもある。そんな山登りの山梨県の鉄道は、乗っているだけでも夏のレジャーの気分を味わえるといってもいいのかもしれない。
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