「はじめてのおつかい」"虐待"批判が吹き飛ぶ凄み 令和になっても"国民的番組"であり続ける背景
海外配信スタートから現在までの2年あまり、「虐待だ」などの強烈な批判や問題提起は見られないことから、日本の価値観や習慣が世界の人びとにジワジワと伝わっているのかもしれません。
昨年10月、自民党埼玉県議団が県議会定例会に「小学3年生以下の子どもだけでの留守番や外出を“置き去り”として禁じる」などの埼玉県虐待禁止条例改正案を提出したことが物議を醸しました。
これは子どもの死亡事故が続いたことを受けた提案でしたが、おつかいに行かせることも、子どもだけで公園で遊ばせることも「置き去り」に該当するという内容に、全国から批判の声が殺到。特に共働きや1人親の家庭には難しい内容であり、条例案は撤回されました。
これは「防犯意識は高まっているが、海外の国々と同じレベルまで警戒する必要性はなく、日々の生活を優先させるべき」という考え方の人がまだまだ多いということでしょう。
「親子視聴が難しい」意外な理由
最後に「はじめてのおつかい」を見る視聴者へのちょっと意外な影響をいくつかあげておきましょう。
同番組は子育て中の父母がメインターゲットとなる内容であり、孫に重ね合わせて見られる祖父母世代からも人気を得ています。
しかしその一方で、小学生以上の子どもたちにとっては興味関心を持ちにくいコンテンツ。彼らはまだ親の気持ちは理解できないだけに、「自分が簡単にできることをしているだけの番組」という位置付けで見られがちです。
そのため民放各局が最も目指す親子での視聴が望めるのは、おつかい当事者と同世代の子どもがいる家庭。ただ、親にとっては一緒に見ることで「もし子どもから『僕もやりたい』『私も出たい』と言われて困ってしまう」という事態も想定されます。
実際、筆者の子どもと同じ保育園に通う6人の3~5歳児が今年1月放送の番組を見て、「やってみたい」と言っていました。親たちは「みんなが出られるわけじゃないから」「もうちょっと大きくなってから」などとかわすようになだめていましたが、今回の放送を見たらその気持ちが再燃するかもしれません。
その意味で実は「子どもと一緒に見るのは避けたい」という親も少なくないのでしょう。
また、前述したように地方でのロケが行われ、都会ではあまり見られない静かな街並みや地元住民の温もりが強調されていることもあって、地方での子育てに憧れを抱くような親の声もちらほら見かけます。
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