「はじめてのおつかい」"虐待"批判が吹き飛ぶ凄み 令和になっても"国民的番組"であり続ける背景

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もう1つ、おつかいが減った理由としてあげられるのは、防犯意識の高まり。子どもに防犯ベルを持たせることが普通になったように、もはや親に「かわいい子には旅をさせよ」という意識ではなく、事故や犯罪に巻き込まれない安全第一の姿勢が浸透しています。

不審者の存在に加えて、子どもを見守る大人の目が減ったこと。歩きスマホやヘッドホン着用、電動キックボードやモペットなどの危険も加わり、「幼い子どもを1人で出かけさせることに抵抗がある」という親が多くを占めるようになりました。

とりわけ都会になるほど防犯意識が高く、「はじめてのおつかい」の撮影も難しくなります。たとえば商店街で撮影しようとしても、「許可が下りない」「苦情が入る」「盗撮されやすい」などの困難があり、理解と協力を得るのは簡単ではありません。

実際、今回の放送で予定されているエピソードは、茨城県結城市、兵庫県宍粟市、宮城県仙台市、山梨県富士吉田市、沖縄県石垣島、愛媛県伊予市、静岡県袋井市、愛媛県愛南町と地方ばかりで、そのほとんどがのどかな田舎町。都心で生きる人々にとって「はじめてのおつかい」は、「遠い世界の話」「一昔前の家族」と別世界のように醒めた目線で見ている人もいるようです。

Netflixでの海外配信の反応と本音

しかし、地方でのロケだからこそ「はじめてのおつかい」の牧歌的な世界観が保たれるとともに、ノスタルジーや旅情を感じさせ、さらに地域のプロモーションにも貢献できるなどのメリットも少なくありません。Netflixで海外配信されれば外国人に向けたPRにもなるため、子どもがおつかいで買うものも地元の名産品が選ばれるケースが目立っています。

では、その海外配信による反応はどうなのか。

当初は感動や畏敬と同時に、懸念や批判の声も多く、まさに賛否両論というムードがありました。子どもを1人きりにさせるだけで児童虐待にあたる国や地域の人びとにとっては、「信じられない」「絶対にダメ」なこととして認められないのも無理はないでしょう。

ただ、それが国際的に問題視されているという深刻な状態ではありませんでした。当初から日本人の価値観や習慣を理解しようとしない一部の声を切り抜くような記事で騒がれていただけ。

「日本ではおつかいが子どもの成長の証しという価値観」を理解はできないけど否定はせず、治安のいい日本への軽い嫉妬に近いニュアンスが感じられました。

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