「はじめてのおつかい」"虐待"批判が吹き飛ぶ凄み 令和になっても"国民的番組"であり続ける背景

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シンプルな内容のため簡単にマネできそうに見えて、実はどんな番組よりもそれが難しく、続けていくのはさらに難しい。他局のスタッフがマネしようと思ってもできないのです。

特筆すべきは、「これだけ配慮と努力が求められる番組を長年放送し続けている」こと。もし制作サイドが視聴率獲得を優先していたら、短期的にはより好結果が得られたかもしれない一方で、33年もの長期にわたって継続できなかったのではないでしょうか。

これまで制作サイドは「ある時期の一度しか見られない家族の物語を記録する」という謙虚かつ誠実な撮影・編集のスタンスを変えていません。

テレビ番組のスタッフは「より収益を得る(視聴率を上げる)ために、より長く続けていくために、ここを変えよう」としがちですが、当番組からはいい意味でそんなスタンスを感じないのです。

営業的な色気を出さず、純国産のキッズドキュメントを撮り続けるプロフェッショナルな仕事が長寿番組につながっているのでしょう。

おつかいの減少と防犯意識の高まり

ただ、「はじめてのおつかい」は、制作サイドの配慮と努力によってすべてが順風満帆かといえば、そうとは言いづらいところがあります。

かつて日本人にとっておつかいは日常の一つであり、子どもに頼む親が少なくありませんでした。しかし、厚生労働省の調査で「子どものお手伝いは、部屋や風呂などの掃除、洗濯物を干す・たたむなどが多く、おつかいは減っている」という結果が発表されたことがあるように(「21世紀出生児縦断調査」2022年)、親子の行動や意識が大きく変わっています。

真っ先にあげられるのは、買い物に対する行動や意識の変化。キャッシュレス化、ネットショッピングでの自宅配送、大型スーパーでのまとめ買いなどが浸透し、以前よりも近所での買い物自体が減りました。

たとえば、何か足りなくなったものがあってもネットで買えば翌日には届くなど、「子どもにおつかいを頼む」という必然性が薄れています。また、地元住民を対象にした人情豊かな商店街が減っていることも、おつかいが減った一因でしょう。

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