「大学の友だち」は一生の友だちになりうるか Z世代を通して見えてくる「友だち作り」の変化

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三宅:だから、自分を育ててくれた相手ぐらいにしか弱みをさらせない、となっているのかなと思ったりもします。

三宅 香帆(みやけ かほ)/文芸評論家 1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。
三宅 香帆(みやけ かほ)/文芸評論家 1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。

ただ、舟津さんが本の中で強調されていたように、あくまで若者は社会の写し鏡であって、友だちの作りづらさって大人の悩みとしてもかなり言われていますよね。私も最近、40代男性の知り合い数人から、「自分に友だちがいないことに気づいた」みたいな話を聞いて。若い人たちも友だち作りに悩んでいるとは思いますが、30代、40代の大人になってもやっぱりわからないんじゃないかと思います。

舟津:たしかに。毎日通う大学の友だちが単位情報を与え合う利害関係でつながっているというのは、それは大学を会社に置き換えてもまったく成立する構造なんですよね。会社であれば、同僚とビジネスライクな話しかしないのは当たり前ですし。大学が会社化しているという、だけといえばだけ。

上司にしても、その上司が人事評価をするわけだから、部下は話したことをマイナスに取られたらどうしようと考えてしまう。実は30代も40代も、その意味で若者と同じなんだというご指摘は本当にそのとおりで、それが会社に限らず大学でも学校でも、あらゆるところに浸透しているのが現代なのかなと思いました。

なんでもかんでも「ビジネス化」の危うさ

三宅:今って、私生活ですらビジネスの論理になりやすい時代というか。労働時間は10年前に比べたら減っている企業も多いのに、その時間が結局SNSや副業といった、ビジネスの論理で動いているものに置き換わっているにすぎない気がして。仕事以外の人間関係をどうやって作るのか、リスクをさらせる場所をどうやって作るのか、若い人だけでなく年齢を重ねても悩んでいることだと思います。

舟津:三宅さんが書かれた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』もそういうテーマですよね。ここ10年は残業の時間が減っていて、それこそ余暇が生まれてもよさそうなのに、24時間働かされているような感覚を抜け出せない。もし定時で仕事を終えたとしても副業やリスキリングのことも考えましょうねとか、家庭でも家事や育児が仕事のように感じると。そう思ってしまうと、目的のない読書はできなくなっちゃいますよね。読書をするにしても副業とかリスキリングの本を読まざるをえなくなるというか。

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