「大学の友だち」は一生の友だちになりうるか Z世代を通して見えてくる「友だち作り」の変化
舟津:三宅さんがおっしゃったような話を「同業者」ともよく話すんですが、この前ショッキングな話を聞きました。学生たちが「大学のときの友だちは一生の友だちになりうるか」っていう話をしていたらしいんですよね。普通なら「なるだろう」と思うじゃないですか(笑)。
三宅:私たちの世代感覚かもしれませんが、大学でならなきゃどこでなるんだ、と思ってしまいます。
舟津:その先生も、なぜまずそうした問いを立てるのか、と最初は思ったみたいです。でも、学生側の話をよくよく聞いてみると、学生たちに「大学の友だちは単位を取るための友だち」という感覚があるのだと。つまり「単位を取るためにつながっておかないと困る」という理屈が前提の関係だから、「一生の友だちになれるのかな」と言い出すんです。
なぜそうなるか、いろんな要因があると思いますが、例えば都市型の大学だとキャンパスがビルのみということも多くて、学生たちも通学が会社に出勤しているような感覚になるのではないかと。まさに「ビジネスライク」なんですよね。
「ある目的のために効率化された手段のみを取るべきである」というビジネス的な考え方が、友だち関係でも当たり前になりつつあって、それが今の大学のリアルなんだろうと思います。
大人だって友だちを作るのは難しい
三宅:たしかに。最近読んだ石田光規さんの『「友だち」から自由になる』(光文社)で、学生が悩みごとを相談する相手として、友だちの割合が減って、お母さんの割合が増えているという調査結果が紹介されていました。友だちに悩みごとを相談するのがリスクになっている、という話が書かれていたんです。
その原因分析がどこまで正しいかは置いておいても「悩みごとを相談できる相手として友だちを見ていない」という感覚は、おっしゃったような目的ありきの友だちみたいな話と合致するなと思いました。私としては、悩みごとを友だちに相談できなかったら、どうするんだろうという気持ちになりますが。
舟津:本当にそうですよね。そもそも友だちって何なんだよって話になってくる。自分を出すことはリスクであって、面倒くさいことを言って嫌われたりハブられたりしたらどうしよう、という不安を抱える。信頼できる交友の範囲がすごく狭まっている状況です。