「大学の友だち」は一生の友だちになりうるか Z世代を通して見えてくる「友だち作り」の変化

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三宅:そうなんですよね。ビジネスの論理で考えると家事や育児も効率的にできるという考え方もありますが、言っていることはすごく正しいし、うまくいくならいいとは思いつつも、すべてをビジネスの論理で考えると、どこかにリスクというか弱さをさらせる場所がなくなっちゃうようにも思うんですよね。

舟津:ビジネスの論理は、より楽に、よりコストを減らすという意味で、間違いなく人間の生活を豊かにしてくれるものです。その一方で三宅さんの本が指摘していたのは、ビジネスの論理は「効率化によって空いた時間の使い方までは教えてくれない」ということですよね。効率化の先には、さらなる効率化しかない。その結果、全部仕事になってしまう。ビジネスの論理だけでは余裕はなくなるばかりです。

ビジネスに不要なノイズを楽しめるか

三宅:ただ難しいのは、ビジネスの論理は基本的には合理的なので、本書に書かれている学生さんたちの言っていることが間違っているとは思わないんです。もし、自分がこの時代に学生だったら、同じように考えるだろうなという事例がたくさん出てきます。もちろん、モバイルプランナーだけに学生生活を捧げるのは違和感を覚えてしまいますし、合理的な選択だけが正しいのかと疑問に感じる部分もあります。でも、そのことを若い世代にどう伝えたほうがいいのか。考え込んでしまいますね。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』では「ノイズが必要」とは書いていて、それは実体験としてもそうだと確信しているんですけど、若い世代にそれが伝わるのかな、と不安に感じるのも事実です。それこそ「なぜ、人生に友だちは必要なのか」みたいな話と同じかもしれません。自分の場合は、身のまわりにいる人が全員仕事のつながりによる人間関係であったら、心許なさを覚えてしまう。仕事のノイズとなるような人が身のまわりにいてくれるほうが、自分の豊かさが増すと思うんです。

舟津:「ノイズ」という表現、すごく面白いし的確ですね。かつ、ノイズを楽しむのは熟達した人の楽しみ方でもあるので、若者には難しいというのもわかります。

おっしゃるとおり、学生一人ひとりの話を聞くと筋が通っているんですよね。だから、決してつじつまが合わないことをやっているわけではない。一方で、引っかかるところがあるのはたしかで、多くの人が「うまく言語化できないけど、なんか違う気がするな」と感じているはずなんです。

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