フランス総選挙・極左政党の台頭が意味すること マクロン大統領との「保革共存」可能性も
場合によっては戦争も必要となる。そうして中東やアフガニスタンなどでの戦争で、アメリカ軍の権威は地に落ちた。それはアメリカの軍事力の衰退を意味していた。
先進国の警察官たるアメリカの衰退は、まさに軍事力の衰退であり、その結果として、それは先進国の政治力の衰退につながっていった。
保守政党化した先進国の左派政党
資本主義は巨大な産業資本の力がなければ存在しえない。金融資本の支配は産業発展の結果にすぎないともいえる。衰退していった過去の偉大なる国家は、金融資本化への移行によって衰退していったといえる。
自らが仕掛けた金融バブル崩壊という「リーマンショック」によって、先進国はアジアの国々へ資本投資をより進めた結果、アジアの経済成長はより加速化され、産業能力においても先進国を凌駕するようになっていった。
こうして先進諸国では産業の空洞化が起こり、失業が増大し、中産階級の崩壊という現象が起き始める。1990年代の経済成長の夢は崩壊し、不況や経済停滞という流れが再び起こる。1950年代、1960年代に存在していたような貧困問題が、再び先進諸国で頭をもたげ始める。
だがそうした貧困を考える左派政党は、すでに先進国社会ではほぼ保守化し、存在しなくなっていたのだ。労働組合も大手メディアも、貧困には関心を払わず、国民の多くは「貧困は自己責任」という呵責に苛まれ、貧しい生活への援助を公に訴えることもできなくなったのである。
フランスの総選挙で今回勝利した、左派の政党連合「新人民戦線」(NFP)の「不服従のフランス」党を率いるジャン=リュック・メランション(72)は、今のフランスを「貧民と豊かな者との闘争の世界だ」と言っている。
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