フランス総選挙・極左政党の台頭が意味すること マクロン大統領との「保革共存」可能性も

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1986年と1993年のミッテラン大統領(1916~1996年)とシラク首相(1932~2019年)、1997年のシラク大統領とジョスパン首相(1937年~)など、これまでにも3回、コアビタシオンは存在していた。しかし、今回は当時のようなレベルの話ではない。

もちろん戦争などの最悪の事態を想定して、大統領がすべてを統括できる権利がこの憲法には保有されてもいる。メランションとうまくいかなければ、内閣と対立してでもさまざまな処置を講じることも可能かもしれない。第五共和制の憲法には、フランス大統領の権限を強化している条項がある。それが第16条である。

ウクライナ戦線へ参加するか

「第16条 共和国の制度、国家の独立、領土の安全または国際協約の執行が、直接かつ重大に脅かされる場合、および憲法に定める公権力の正常な運営が阻害される場合、大統領は、内閣総理大臣、両院議長、憲法評議員に公式に諮問した後、状況に応じて必要とする処置をとる。大統領は、それを教書により国民に通達する」(同書、252ページ)

これを使えば、大統領はウクライナ戦線への参加も可能となり、議会の頭越しに政策を実行できるのだ。内閣総理大臣に諮問するという足かせはついているが、いずれにしろフランス大統領の権限がとても大きなものであることは忘れてはならない。

フランスの国政は、選挙前以上に複雑なものとなった。国民が分裂し、対立が明確になっている以上、混乱は避けられない。さて、この困難をマクロンは残りの任期内で、どう乗り越えるのだろうか。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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