フランス総選挙・極左政党の台頭が意味すること マクロン大統領との「保革共存」可能性も

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2期目の大統領選直後に行われた2022年の選挙においても、1党で政権を成立させる力はどの党にもなかった。だからこそ、マクロン2期目の2人の首相は、議会内で十分な力を持てなかったのだ。

今回は前回以上に状況は厳しい。前回は与党連合が245議席を確保していたのに対し、今回は200議席を超える党すらいないためである。

そうなると首相選びは難攻するだろう。新人民戦線のメランションも、国民連合のバルデラも「与党連合とは組まない」と主張しているが、妥協を強いられるだろう。

フランス大統領が持つ権限

もちろん、残りの議席は少数政党が持っているが、たったの96議席だ。しかも、それぞれ左派か右派に分裂しているので一本にまとまってどこかにつくことはできない。また83議席をすべて足したとしても、多数派を占める数に達しない。

このように首相が決まらず反目が続けば、フランス第五共和制憲法(1958年)第8条がキャスティングボードを握るかもしれない。そこにはこう書かれている。

「第8条 大統領は内閣総理大臣を任命する。大統領は内閣総理大臣による内閣の辞表提出に基づいてその職を免ずる。大統領は内閣総理大臣の提案にもとづき、他の閣僚を任命し、またその職を免ずる」(『世界憲法集』宮沢俊義編、岩波文庫、250ページ)

確かにマクロン大統領には任命権がある。しかし第1党からではなく、第2党から選ぶことは可能かどうかが問題となる。それが問題となれば、第1党から選ぶしかなくなり、いわゆる「コアビタシオン」(cohabitation、保革共存。政策が対立する大統領と首相が存在すること)ということになろう。

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