結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。
共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。
そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。
著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、加齢による認知機能の衰えで、生活に支障が出てしまったケースとその解決方法について解説する。
「いつのまにかゴミ屋敷の住人」になったCさん夫婦
高齢になれば、誰しも徐々に記憶力や判断力などの認知機能が衰えていくものです。
心身の衰えとともに、生活が荒廃していく高齢世帯が増えています。
私が見てきた中でも、いつのまにか生活が荒れて、ひどい状態になってしまっているのに誰にも気づかれず、配偶者の死亡や本人の入院などがきっかけで、ようやく福祉サービスにつなげることができたケースがあります。
まずは、80代のCさん夫婦の話です。
Cさん夫婦は、夫が妻を老老介護していたそうです。
そしてあるとき、夫であるCさんが突然亡くなったのです。
Cさん宅にはコンビニ弁当やペットボトルなどの空き容器が大量にため込まれ、家の中は、まさにゴミ屋敷状態でした。
しかも、夫婦はろくに入浴もしていなかった様子でした。
Cさんの死亡によって葬儀社が関与したところ、「これは大変な状況だ」ということになり、地域包括支援センター経由で私に連絡があったのです。
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