現に、80万円から100万円程度のコストでエンジニア派遣を利用したとしても、特に有名な会社でない限り、優秀なエンジニアが派遣されることはまずありません。
これは企業にとっては嘆くべき状況ですが、日本のエンジニア派遣会社にとっては有利な状況といえます。一方で発注側は、この不利な状況を理解していてもいなくても現状維持を選び、あくまで日本人を採用することにこだわっているのですから、おかしな話ではないでしょうか
スタートアップが現状を打破するカギ
こうした事情から、企業は日本人のエンジニアにこだわらず、海外のエンジニアを採用したほうがはるかに効果的だと思いますが、海外エンジニアを派遣する会社は少なく、いまだに大きな壁となっています。
こうして日本企業は海外のエンジニアの採用に踏み出せず、思考が停止してしまっている状況に陥っているわけです。
しかし、海外の優秀な人材を、日本人と同じかそれより安いコストで採用すれば、業務効率は大幅に向上します。日本企業の大半は、新しいものを避けて現状維持を続けようとしがちですが、新しいものを取り入れる文化が根づけば、日本のIT業界が大きく変わるかもしれません。
私は、このような日本の状況を変える希望のひとつが、スタートアップだと考えています。
日本の中小企業の場合、多重下請け構造のもとで薄利で仕事を請けているため、エンジニア採用のコストが課題となることがほとんどです。
一方でスタートアップは、優秀な人材を揃えることが社の存続に関わる課題であり、製品の質やリリースの早さを最も重視するという、中小企業とは異なる課題があります。
優秀なエンジニアたちは、「世界を変えるようなプロダクトを作りたい」という強い思いを持っているものです。
若い人の中ではスタートアップで働きたいと考える人が増えているようですが、そのような若さと勢いのあるスタートアップが増えていくことが、閉塞したIT業界を打破するカギになるのではないでしょうか。
また、スタートアップにはIT関連の企業が多く、これらの企業が日本のエンジニアの待遇、品質、意識改善に取り組むことで、日本企業の体質そのものを変えることができるはずです。
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