ブックオフ橋本相談役が今やっていること 相談役になっても現場で大活躍
――今でも店頭に立つことはあるのですか?
はい。どこかの店舗から今日スタッフが足りないという声が上がってきたら、「あら、私入れるわよ」って。
だけど皆「(来なくても)大丈夫です」って言うのよ(笑)。それでも店舗には積極的に顔を出しています。現場に出ないとわからないの。たとえば先ほどのストッカーには簡単に引き出せるようにレールが付いているんですが、シリコン製なので本を大量に収納しているとだんだん潰れてきちゃうんです。
そうなると、開け閉めにすごく力を入れなきゃいけない。スタッフはそれを1日何回もやるわけですよ。
そんな様子を見ているから、取締役会で経営陣がM&Aについて話しているときに「それよりもまず○○店のストッカーを入れ替えましょうよ」「ストッカーひとつでどれだけ生産性が上がると思っているの」って(笑)。
現場の働きやすさは会社の業績に直結しますからね。トイレの改修や雨漏りがする屋根の修繕なんかも、現場で見てきた問題点は全部提起しています。
「超つらい」の後にある「超楽しい」を体感してほしい
――橋本さんから、若い世代のビジネスパーソンへ伝えたいことはありますか?
そうですね。まずは、「目標を持つ」こと。車が欲しいとか、彼女と結婚したいとか、老後に備えておカネを貯めたいとか何でもいいんですが、人は目標を持っていれば行き詰ったときにもぶれません。
二つ目は私が若い人の真似をして勝手に考えたんですが、「超つらいけど、超楽しい!」という言葉。仕事をしていて本当につらいときもあると思います。先ほど話した店舗立て直しもそうですが、うまくいかないときは「超つらい」んです。
だけど、自分の行動や誰かのちょっとした一言で「超楽しい」に変わる瞬間が必ずあります。それを体感するまでは、目の前の仕事に必死で取り組むべきだと思いますよ。
三つ目は「稼げる人になれ(会社にとって必要な存在になれ)」ということ。
オールマイティに活躍できなくても、何かしらの専門性を持って「この人にはこれを任せたい」と思われる人は、どんなに不景気でもリストラされることはありません。
たとえば私は、財務なんてできないしITも難しくてついていけない。でも現場なら誰にも負けません。不振店を繁盛店にすることができるという自負を持っています。「満遍なくこなせる人になる」よりも「何かひとつ人に負けないものを持つ」ことが大切だと思いますね。
――まずは目の前の仕事に打ち込むべきだということですね。
私自身がそうでしたが、たまたま自分に与えられた目の前の仕事が、大きな意味を持っていたりするんですよ。ひとつの仕事を極めるということは大きな意味を持っていると思います。