スズキが独フォルクスワーゲンへ提携解消申し入れ--鈴木修会長の会見内容を全文掲載

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 特にエンジンの問題については、私とヴィンターコルンが直接話をしている。また技術情報開示のための株式交換が投資目的に変わったことも計り知れない。契約違反ということは戦争前夜と同じだ。友好的に解決するには話し合いをするしかない。

原山副社長 VW側が指摘するフィアットからのエンジン調達以外にも、別のスズキにとって根拠がない件で契約違反を指摘されている。VWは契約違反だというが、むしろ契約違反を主張したいのはスズキのほうだ。

09年12月に提携をしたとき、契約内容として技術についてVWからスズキに技術移転が得られると、かなり具体的な規定があった。しかし提携後、スズキが必要としている技術をVWが供給できない事実がわかった。そもそも独立したイコールパートナーとして提携した以上、他人に向かって「契約違反だ」というのは、外交関係における宣戦布告に等しい。だから、われわれはVWに対し「契約違反」という言葉は使ってこなかった。

パートナーのスズキに対し「契約違反」という最後通告をしながら協議を進めることはできない。まずは取り消しなさい、というという提案をしてきたが、そのことについても何ら反応がなかった。

今回の件について、契約にあまり記載がないため、違約金が発生するような事態には発展しないだろう。一番の問題は、どうやって契約を解除するかということだが、VW側としても、突然フィアットのエンジンの問題を持ち出すなど、提携を解消したかったように思わざるをえない。

鈴木会長 原山は第一線で契約交渉に当たっており、多少興奮しているようだ。両社にとって大事なのは、またどこで会うかわからないから笑顔で別れることだ。先ほども言ったように、これは結婚・離婚と同じ。「殿、殿中でござる」と一緒だ。あまり最悪のケースばかりを考えても仕方がない。もっと和やかに解消する努力をしたい。

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